研究課題/領域番号 |
25340096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
鈴木 隆之 東京電機大学, 工学部, 教授 (20257215)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | クリオゲル / 重金属イオン |
研究概要 |
申請者は、(1)水中における有害な重金属イオンの吸着状況を色調変化で知らせる機能と、(2)吸着した金属イオンを可視光照射だけで脱離回収できる機能、を併せもった機能性高分子材料を報告してきた。しかしながら、この高分子材料はゲルの形態をとるため、ゲル内部の極めて小さい水の拡散が金属イオン吸着回収の律速段階になっている。汎用のイオン交換樹脂は、疎水性なので水中で多孔構造を構築・維持でき、金属イオンの速い吸着回収を実現している。申請者の高分子材料は親水状態で初めて(1)と(2)の機能を発現するため、他の多孔構造構築法が必要である。そこで、ゲルの形態で高分子材料を多孔化するクリオゲルの作成と、この多孔性高分子ゲルを用いた金属イオンの速い吸着挙動および光照射による高効率な脱離回収の評価を研究目的とした。 周辺の温度に感応して高分子材料全体の親水・疎水のバランス変化を示すアクリルアミドと、水中でも光学的に高い透明性と堅牢な骨格をもつヒドロキシメタクリレートを主要部位とするスピロピランとの共重合体をそれぞれクリオゲルの形態で重合・作製した。いずれのクリオゲルの作成に用いる反応溶媒にも、水の他にフッ化アルコールを加えて混合溶媒にすることで双方の部位の溶解性を向上させることができた。反応温度や反応時間を変えるなどの一連の作成条件を変えて、クリオゲルの多孔状態に変えることを試みた。作製したクリオゲルは、主にSEMを用いて観察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クリオゲル作製において、その物理的孔(ポア)の形状や大きさを左右する使用溶媒や重合温度などの条件を整理することができた。重金属イオンのクリオゲル中における拡散係数を測定するための吸着実験でいくつかの課題が残ったが、おおむねある程度の誤差範囲で算定できるまでになった。しかしながら、まだ改善の余地があるため、引き続き精度の高い実験を考案し実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
作製したクリオゲルを用いたカラムにおける重金属イオンの拡散挙動を測定するにあたり、カラム内壁とゲル間での速いすり抜けが拡散実験の精度を下げてしまう課題がある。初年度での試行錯誤により調整箇所をいくつか見いだすことができたため、この方向で精度の高い実験を引き続き行う。また、適切なクリオゲルが得られた際には、多孔状態を各種物理的物性パラメータを測定しながら整理していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
薬品類の使用額が予定よりも若干少なく済んだため。 前年度に生じた薬品類に使用する予定の予算は、引き続き同じ薬品類の使用に充てる。
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