研究課題
2015年4月に茨城県鉾田市で150頭以上のカズハゴンドウの大量座礁が発生したが、そのうちの33頭を回収し、保管した。その後約1年かけてこの33頭を調査することができ、各種サンプルも保管した。2016年にはその33頭の環境汚染物質解析ならびに病理学的解析を実施し、2011年3月にも同じ茨城県の鹿嶋市に大量座礁したカズハゴンドウの結果と比較・検討し、甲状腺の病理学的変化と環境汚染物質の体内蓄積との相関性について現在投稿論文作成中である。2015年10月にはミャンマーでアジア保全医学会が開催され、本科研費から、海の哺乳類における環境汚染物質の実態を愛媛大学の方に発表いただき、科研代表である田島がそのセッションを発案・企画し、アジア諸国とのさらなる連携を図った。汚染物質の体内蓄積と密接な関係にある日和見感染症の1つである皮膚真菌症に属する、ロボマイコーシス罹患漂着イルカの症例報告を投稿論文化したが、この症例と環境汚染物質との相関性は見いだすことはできなかった。2016年は引き続きストランディング個体の対応は行い、その成果発表を日本セトロジー研究会(6月、寺泊)ならびにアジア保全医学会(10月、台北)でそれぞれ行った。1月にはパトナ大学のシンハ教授からご提案いただき、ガンジス川で死亡したガンジスカワイルカ5頭の病理調査をパトナ大学にて実施した。残念ながら腐敗高度の個体が多く、詳細な病理解剖は実施できなかったが、絶滅危惧指定にあるガンジスカワイルカの保全に繋がる連携を確立することができたことは大変有意義であった。資料を国外に持ち出すことが大変難しい鯨類であるので、環境汚染物質解析がインド国内で実施可能であることがわかり、今後の共同研究の可能性が示唆された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件)
Marine Environmental Research
巻: 2016 ページ: 1-9
富山市科学博物館研報
巻: 40 ページ: 99-101