研究課題/領域番号 |
25340110
|
研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
島谷 健一郎 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (70332129)
|
研究分担者 |
小田 牧子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 助教 (40595766)
田中 潮 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60516897)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 点過程 / 方向統計 / 生物多様性 / 生物分布 / マルコフ点過程 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / ポアソン過程 / 等方性 |
研究実績の概要 |
本年度、分担者の田中の異動により、継続してきた空間点過程の書籍(Statiscal Inference and Simulation for Spatial Point Processes. Moller & Waagepetersen 2004)の 精読ゼミを一時中断せざるを得なくなった。 その書籍の内容も含め、空間点過程モデルの大半は、等方性を仮定する。しかし、現実の生物分布では、この前提は満たされていない。近年はそうした非等方性に生物種や相互作用の特徴が反映されるといった指摘もあり、方向性への関心は高まっている。 本研究ではそうした点を踏まえ、前半は方向統計学の手法を空間点分布データの解析へ適用することを試みた。そして、8月26-27日に東京理科大学で方向統計ワークショップを企画した。そこへ、本研究で当初より研究協力者として招待を予定していた研究者も含めて、空間点分布データを解析中の研究者および方向統計研究者を招待した。実データとその解析法の試みについて意見交換し、方向統計研究者からも意見をもらった。 後期に入り、改めて空間点過程書籍の精読の復活を図り、1-3月に2日にわたる集中ゼミを2回、行なった。研究協力者の参加および協力を得て、chapter 8までの精読作業を完了させられた。空間点過程の教科書は80年代から出版されているが、それらは数学的証明を省略した直観的な記述と計算に終始するものか、または測度論に厳密に従うあまり実データへの適用目的には不適な書籍に2分された。しかし、ここで取り上げた書籍は、当初の期待以上に、その両者を兼ね備えた稀有な書籍であることに確信を抱いた。これを種本に、優れた和文教科書の執筆が具体的視野に入ってきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分担者・田中の異動により書籍精読の振興が危ぶまれたが、確実に前進させられ、年度内の目標には到達できた。なお、今年度から取り入れた形式により精読する進捗は早められ、あと3-4回で完了させられる目途が立った。同時に、この書籍を種本に、和文教科書を執筆するという本研究の目標への、具体的公算が立ってきた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度、ゼミ形式による書籍の精読をさらに3-4回行うことで、書籍の全体の精読を完了させる。空間点過程に関する和文教科書の執筆についても、出版社(近代科学社、進化する統計シリーズ)と具体的な打ち合わせを始める。 既存研究のreviewでなく先端研究の実践として、田中らによって開発されたパーム尤度法の発展版について、既に考案されているアイデアをもとに具体的結果を導き、論文にまとめ投稿する。 1月には点過程研究者を含む研究者を国内外から招待してシンポジウムを開く。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究費により研究会への招待を予定していた研究者が別な研究費で参加したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の旅費にあてる。
|