研究課題/領域番号 |
25340112
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
庄山 紀久子 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 特別研究員 (40526711)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生態系サービス / 社会価値 / 空間評価 / 選好 / 生物多様性 |
研究概要 |
これまで生態系サービスの人間社会における受益量を評価するために支払意思額の推定など社会経済的な評価手法が開発されてきた。しかし受益者の地理的分布によってその価値は異なり、地域住民とその他の遠隔地に住む市民では支払意思額が異なることがある。これは、地域住民と遠隔地の住民では受け取る価値の種類が異なることに起因する。本研究では地域住民にとっての生態系サービス価値を空間的に評価することを目的に、具体的な環境変化シナリオを作成し、環境価値評価のための社会調査と分析を行った。 1.環境変化シナリオの作成 対象地域の時系列の土地利用および植生データを用いて被覆変化解析を行った。詳細な植生データから主要な植生変化を抽出するために、2時期の植生調査データを用いて分類を統合する手法を検討した。環境地理情報および社会経済データを収集し、抽出された植生変化に影響を及ぼす要因の分析を行った。その結果を基に土地利用モデルを用いて環境変化シナリオを作成した。 2.環境価値評価のための社会調査 対象地域の選定集落において複数の生態系サービスに対する選好評価を行った。郵送アンケート調査を2回実施し、およそ600世帯の回答を得た。評価の方法は評定式を採用した。被験者を属性に分類し、被験者が回答した評価値と環境指数との関係、評価に影響する属性の分析を行った。最大エントロピー法による価値分布の推定を行った結果、生態系サービスの種類によってその価値分布に空間的異質性が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画していたシナリオ作成のためのデータを収集し、生態系サービス評価のための社会調査を実施した。次年度に追加調査を実施し分析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の解析結果に基づき必要なデータサンプリング、回答者グループの追加、調整を実施する。また社会調査から算出した社会価値指数と評価対象地の景観指数の空間回帰分析によって、社会価値の空間的評価を行う。価値-環境条件との関係からどのような条件において生態系サービスの社会的価値が変動するのか、複数の生態系サービス間のトレードオフ解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査実施が遅れたため、研究打合せおよび成果発表のための旅費を次年度に繰り越した。 研究打合せおよび成果発表のための旅費を次年度に使用する予定である。
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