本研究の目的は、バイオマスエネルギー管理において①地域資源ポテンシャルを考慮した都市農村圏の最適規模の提示②管理効率値と環境及び地域経済の関係を明らかにする③地域資源管理ポテンシャルを活用した地域資源管理システムを構築することである。本研究では、コミュニティにおけるネットワークを示すソーシャル・キャピタル(SC)をフローバイオマス管理ポテンシャル、未利用バイオマスをストックバイオマスポテンシャルと位置付けた。対象としたバイオマスは、農畜産系バイオマスエネルギー、林産系バイオマスエネルギー、廃棄物エネルギーである。第1の成果として、バイオマスエネルギー管理の効率性評価を通して、地域資源管理ポテンシャルの影響を明らかにした。フローポテンシャルであるSCは、バイオマスエネルギー管理の効率性を向上させる強固な要因であることが明らかにされたため、SCの計測手法及び定量化手法の改善を行った。第2の成果として、バイオマスエネルギー管理効率値に影響を与える地域要因を明らかにした。農畜産系及び林産系バイオマスエネルギーの管理効率値には、法人組織形態が影響し、廃棄物エネルギーの管理効率値には、委託組織形態が影響することが明らかになった。第3の成果として、地域資源管理システムを提言した。地域要因の集積状況を需要サイドの都市要因と供給サイドの事業要因から分析し、効率性向上手法を提言した。広域かつ高人口密度の都市圏でバイオマスエネルギー管理を行うと、効率性を向上できることなどを見出した。
|