研究課題/領域番号 |
25340121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 省吾 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (60134996)
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研究分担者 |
常山 幸一 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (10293341)
田中 大祐 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (40360804)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海藻分解菌 / 廃棄海藻 / バイオマス利活用 |
研究概要 |
セルロースやアルギン酸など10種類以上の多糖類を分解することができるスーパー分解菌Saccharophagus degradans 2-40株については,海洋生態系での機能だけでなく産業への応用面でも大きな関心が持たれ,多数の論文が発表されている。我々は,このSaccharophagus属の2番目となる新種を,海藻分解菌として単離することに成功した。そこで,本申請では,この新Saccharophagus属(Myt-1株)を用いて,廃棄海藻を減容化するとともに,海洋バイオマスとして再活用化する方法を開発することを研究の主目的とした。平成25年度の実施状況について以下に報告する。 1.Myt-1株の,褐藻 (ワカメ, コンブ), 紅藻 (マクサ),緑藻 (アオサ)の3種類の海藻藻体に対する分解能を調べた。その結果,3種類全てを分解することができたが,中でも褐藻に対する分解活性が最も高いことが再確認された。 2.各種海藻藻体を基質として培養した際に発現・分泌される多糖分解酵素を,SDS-PAGEとザイモグラムによって解析した。その結果,セルラーゼ,アガラーゼ,アルギナーゼなどが各々複数発現することが検証された。さらに,基質とする藻種によって,発現強度や数が異なる傾向も見られた。 3.キチン,フコイダン,ラミナラン,カラギーナンなど,機能性オリゴ糖の産生に繋がる各種多糖を基質として培養すると,各種多糖に応じた分解酵素が発現・分泌されることを示唆する結果が得られた。 4.プラスミドベクターpUC118と大腸菌DH5αを用いたショットガン・クローニング法とPrimer Walking法で各種多糖分解酵素遺伝子の検出・同定を行った結果,アルギナーゼ遺伝子algMytCとセルラーゼ遺伝子celMytBを同定することができた。 5.同定した遺伝子と発現用pETベクター, そして発現用大腸菌BL21を用いて形質転換体を作製し,各酵素を大量発現させたものをNi-アフィニティカラムなどで精製し,各酵素の至適温度や至適pHなどを調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2009年,我々は,上述のようにSaccharophagus属の2種目となるMyt-1株(新種)を,海藻分解菌として,富山湾の海底堆積物から発見・単離することに成功した。そこで,平成25(2013)~27(2015)年度にわたる本申請では,まずは廃棄海藻の減容(量)化と海洋バイオマスとしての再活用化を目指して,Myt-1株の各種海藻藻体に対する分解能力を調べることとした。そして,上述のワカメ,マクサ,アオサだけでなく,ムカデノリ,カバノリ,アカモク,フクロノリなどの褐藻・紅藻・緑藻の多くを分解することを見出した(平成25年度)。つぎに,Myt-1株が,海藻藻体そのものや海藻に含まれる各種多糖類を分解する機構を解明する手掛かりを得るため,Myt-1株が持つ多糖分解酵素遺伝子の検出と酵素の精製を試みている(平成25~27年度)。平成25年度には,既に同定していたalgMytA・MytBに加えて,algMytCやcelMytBなどの遺伝子を同定するとともに,それらの産物のキャラクタリゼーションも行えた。 以上の成果と,これらが複数年に渡る目的であることから,概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降は,上記1.~5.を続けてさらに深めて行くとともに,6.得られた各酵素を用いて 海藻藻体や多糖類を分解し, 薄層クロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーを用いて, 産生されたオリゴ糖の解析を行うことや,7.産生された各種オリゴ糖を含む溶液をメタボ発症マウス(TSODマウス)に投与し,糖尿病,高脂血症,肝腎障害などの発症の抑制や軽減などの効果を観察することなども計画している。さらに,下記8.~10.の実験も着手する予定である。 8.Sacchaophagus属の分布域を調べるために, ワカメ藻体を含んだ人工海水 (ASW) 培地による培養法と16S rRNA遺伝子を標的としたPCR-DGGE(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)法によって, 富山湾沿岸域の海水や海底堆積物などの試料中からSaccharophagus属の検出・分離を試みる。9.セルロースやデンプンなどを分解して産生したグルコースの利用を想定して,海産の酵母を単離する。それら酵母を用いた発酵で,産生されたアルコール量を定量する。10.海藻藻体を分解して得られる海藻の単細胞体を,ウニのプルテウス幼生に投与し,餌料としての効果を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末の学会での海外出張費だったので,金額が特定できなかったため。 次年度の交付額に組み込んで使用する。
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