平成27年度の研究成果として、日本全国を一級水系、二級水系、その他の水系に区分し、それぞれの流域界を地理情報システム(GIS)を用いて作成した。これらのデータをクラウド(インターネット上の仮想空間)に格納し、PC、タブレット、スマートフォンで誰もが閲覧できる仕組みを構築した。PCは室内で、タブレットとスマートフォンは主に現地で利用する。現場では現在位置が分かることから、流域のどこに自分がいるか、即座にGPS機能により判断できる。これにより現場にて目の前の河川の名称なども把握可能となる。 流域を単位とし、流域の中にどのよう地物、事象が存在するのか、人口や産業などはどういう現状であるか、過去にどのようなことが起こったか、などの流域単位での諸情報に関する平成26年度までの成果を流域上で表現し、室内および現場の双方にて総合的な流域診断を実施することが可能である。流域診断の結果を行政などからトップダウン形式で付与されるのではなく、その流域に関わる主体自らがこれら諸情報を活用し、流域での検討に際しての優先順位、特徴認識、時間変動などをグループミーティング形式で形成していくプラットフォームとなる。 今後の展開としては、GISに関する構築されたデータの更新、特に人口や産業など時系列的に変動する要素に関しては、最新データに変更していくことが必要となる。また、これらの時系列データの充実により、長期に渡っての変動パターンを新しく流域の情報として加えることができるメリットがある。また、いくつかの流域において、実際に構築された室内と現場での情報を活用した事例を積み重ねることで、さらに必要な流域情報などが付加されてくることが期待できる。
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