Halomonas属のPHA合成遺伝子、オペロン構造をHalomonas属として初めて解析して発表した。研究機関全体を通じて、従来のPHA合成酵素と異なる配列を有する活性中心について、部位特異的変異体を作成して、それぞれのアミノ酸の役割を特定することができた。これは4クラスに分類されるPHA合成酵素のうち、Halomonas属の属するクラス1の一般的性質の解析としても意義のあるものであったと思われる。 また、次にオペロン構造について、PHA合成酵素遺伝子の上流にPHA顆粒の形成を介助するとされる「ファジン」タンパク質をコードする遺伝子があることを検討した。ファジンタンパク質の解析はほとんど行われていないが、他のHalomonas属のゲノムデータを見ても、PHA合成酵素遺伝子上流に普遍的に二つのファジンタンパク質遺伝子が存在することから、ファジンの役割の重要性が想定された。そこで、これらの遺伝子を欠損させて組み換え体により調べた結果、大腸菌内のPHA蓄積量が変化した。ファジンの存在によって細胞内蓄積量が増大することが認められた。 最終年度である27年度の成果としては、上記の成果をHalomonas属の株で再現するための遺伝子組換え系の構築を行った。通常、Halomonas属は接合伝達のみでしか外来遺伝子を受け付けないとされてきたが、我々は独自の系を確立して、エレクトロポーレーションによる導入を確立した。今後、これを用いて、さらに海洋性細菌の代謝、Halomonas属特有の代謝とリンクさせてPHA合成についての検討の幅が拡がると期待できる。
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