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2013 年度 実施状況報告書

自然公園の野趣性を保護するための管理計画に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25340133
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岩手大学

研究代表者

山本 清龍  岩手大学, 農学部, 准教授 (50323473)

研究分担者 愛甲 哲也  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30261332)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード三陸復興国立公園 / 蕪島 / 種差 / 野趣 / 富士箱根伊豆国立公園 / 富士山 / 世界遺産 / 富士山保全協力金
研究概要

2013年度は三陸復興国立公園と富士箱根伊豆国立公園において調査を実施した。三陸復興国立公園では,種差海岸の国立公園指定までの歴史を概観するための文献調査と,環境省八戸自然保護官事務所や八戸市観光課,地元自然保護団体等へのヒアリング調査を実施した。さらに,来訪者の意識について把握するため2013年7月13-14日(土日)の連続2日間,種差海岸の葦毛崎,大須賀海岸,天然芝生地,蕪島において18歳以上の日本人の来訪者を無作為に抽出し,調査への協力依頼に対して同意を得られた来訪者に面接式のアンケート調査を実施した。結果,種差海岸地域全体としては施設整備など利用の促進が期待されていた。しかし,種差海岸の東側では雄大で美しい風景,自然とのふれあい,よくまもられた自然,癒しとリラックスできる環境が魅力として捉えられていたことから,自然とのふれあい体験だけでなく感覚を弛緩させる自然の静寂性,野趣性にも価値があると考えられた(坂他,2013)。富士箱根伊豆国立公園では,富士山を対象に,登山者の属性や意識を把握するため,開山期中で協力金導入にむけた社会実験の期間外となる2013年8月6-7(火水),10-11(土日)の4日間,吉田口五合目登山道分岐泉ガ滝付近において面接式のアンケート調査を行った。調査は,頂上を目指して登山した後の下山者を無作為に抽出し,調査への協力依頼に対し同意を得ることができた18歳以上のすべての日本人に回答を求めた。結果,世界遺産登録が登山の動機になった登山者が約21%あり,世界遺産登録の効果,影響がみられた。また,社会実験の日を避けて登山した回答者が7%あり,社会実験実施によってもたらされた対処行動が少なからずみられた。富士登山では以前から混雑と渋滞が問題となっており,世界遺産登録は問題を深刻化させていると考えられた(山本他,2013)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

三陸沿岸部で復興支援活動を展開せざるをえない状況にあり,調査地ごとに進捗状況にばらつきがあるが想定の範囲内である。まず,三陸復興国立公園における調査は当初の予定よりも良好な進捗状況である。また,富士山についても世界遺産登録という社会状況の変化があったものの,自然公園の野趣性を保護する上で問題となる点,世界遺産登録による影響を把握することができ,順調に研究を遂行できている。さらに,大雪山では調査を開始しており,成果報告が待たれる状況にあり当初の予定通りである。尾瀬と岩手山では文献調査を実施しており,現地調査が必要か否か検討中である。研究全体としては計画の遅れはない。

今後の研究の推進方策

調査項目ごとにみると,利用行動調査では,主要な研究対象地として想定していた富士山において,2013年に山梨県が世界遺産登録にあわせた利用行動調査を実施しており,調査データの連携をはかれるか否か調整する必要があったため2013年度は実施しなかった。2014年度は調整を経て意味のある研究成果を提出したい。また,利用者意識調査は順調に調査を実施できており,すでに一部は成果報告を行った(山本他,2013;坂他,2013)。2014年度は利用と渋滞の予測モデルを作成する予定であり,山梨県および静岡県の調査と連携する必要があるが,すでに山梨県環境科学研究所等を通してコンタクトを取り始めている。

次年度の研究費の使用計画

前述のとおり,岩手県が東日本大震災の被災地であるため,三陸沿岸部で復興支援活動を展開せざるをえない状況にあり,調査地ごとに進捗状況が異なるという点で当初の予定どおりの予算執行に至っていない。また,前項の「今後の研究の推進方策」で述べたとおり,利用行動調査では,主要な研究対象地として想定していた富士山において,2013年に山梨県が世界遺産登録にあわせた利用行動調査を実施しており,調査データの連携をはかれるか否か調整する必要があった。そのため,利用行動調査に必要な経費が温存される格好となった。
2014年度は他の国立公園において利用行動調査を実施する準備を進めており,利用行動調査を本格的に実施することで,1年遅れで当初計画に近い形に戻して予算執行できると考えている。なお,研究成果としては,利用者意識調査は順調に実施し成果報告も行っていることから,研究全体としては計画の遅れはない。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 富士登山者の登頂断念と高山病症状2013

    • 著者名/発表者名
      山本清龍
    • 雑誌名

      環境情報科学論文集

      巻: 27 ページ: 169-174

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 種差海岸来訪者の意識にみる三陸復興国立公園への期待と自然保護上の課題2013

    • 著者名/発表者名
      坂拓弥・山本清龍
    • 雑誌名

      日本観光研究学会全国大会第学術論文集

      巻: 28 ページ: 229-232

  • [雑誌論文] 世界遺産富士山における協力金問題と登山者の意識2013

    • 著者名/発表者名
      山本清龍・トマス・E・ジョーンズ・林宇一・荒牧重雄
    • 雑誌名

      日本観光研究学会全国大会学術論文集

      巻: 28 ページ: 257-260

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公開日: 2015-05-28  

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