研究課題/領域番号 |
25340143
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
渡辺 理絵 新潟県立大学, 国際地域学部, 准教授 (80360775)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 気候エネルギー政策 / 政策過程論 / アクター |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、気候・エネルギー政策分野で、ドイツはなぜ日本よりも早期に非漸進的政策転換を経験したのかという実証研究上の疑問に、気候・エネルギー政策について異なる立場をとる複数都市における政策形成と、中央(連邦)における政策形成の相互作用という観点から答えることにある。この目的を達成するために、①日本とドイツの地方都市における気候エネルギー政策を分析した先行研究をレビューし、②中央(連邦)と地方の関係を規律する制度、気候・エネルギー政策に深く関与しているアクターの立ち位置、利害、そして理念を分析するための独自の枠組みを構築し、③日独それぞれの国で、気候・エネルギー政策推進に関して立場を異にする複数都市を選択し、①で構築した分析枠組みに基づいて、当該都市およびその都市を管轄する県・州における気候・エネルギー政策を比較分析する。 平成26年度は、事例研究面では、日本およびドイツの事例対象都市を決定し、両国で原子力発電所が立地している1市・1村のエネルギー政策形成に関する調査を実施した。またこの事例に基づいて、平成25年度に構築した分析枠組みを見直した。さらに事例研究を実施する過程で執筆した、日本の中央レベルのエネルギー政策形成過程に関する英文論文を公表した他、平成26年度に実施した事例研究の中間成果をベルリン自由大学主催の会議で報告した。また本研究の前提となった、以前に実施した研究成果に基づいて執筆し、科研費学術出版助成を頂いて2015年2月に刊行した「日本とドイツの気候エネルギー政策転換‐パラダイム転換のメカニズム」に、本研究で平成25年、26年度に実施した文献および事例調査を通じて収集した、日本とドイツの中央(連邦)レベルの気候エネルギー政策に関する情報を可能な限り盛り込んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事例研究都市およびその都市の気候エネルギー政策形成に関与しているアクターの選定、先行事例研究のレビュー、そして分析枠組みの構築・見直しに、予想していたよりも時間がかかり、事例調査の実施がやや遅れている。ただし平成26年度に、日独ともに1都市・1村で事例調査を実施し、この事例に基づいて分析枠組みの見直しも行ったため、この枠組みに基づいて、焦点を絞った上で、残りの都市における事例調査を平成27年度中に終わらせることは可能だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は日独それぞれで事例調査を実施し、各都市の気候エネルギー政策形成過程について論文を執筆する。またすべての事例調査が終了した後、都市および県・州内での政策形成と中央(連邦)における政策形成の相互作用と、相互作用を規定する制度が、日本とドイツの気候エネルギー政策転換の差を説明する主要因となっているのか考察し、本研究の問いに答えることを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2013年度は分析枠組み構築のために時間を要し、事例調査のための海外出張に1度しか行かなかったことから、64万円を2014年度に繰り越した。2014年度は、事例調査をほぼ予定通りに実施したが、2013年度からの繰り越し分のうち約32万円を2015年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度中に、残りの事例調査を終了させるための調査費用として、また事例調査の一部を英文で公表する際の英文校閲代として、2015年度割り当て分とあわせて繰り越し分を使用する。
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