研究課題/領域番号 |
25340145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
三俣 学 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (10382251)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コモンズ / 協治 / 設計原理 / スウェーデン / デューク大学 / 国際情報交換 |
研究概要 |
交付申請書の研究計画に沿って、山梨県富士吉田市で開催された第14回国際コモンズ学会に学術企画委員および通訳グロッサリー班員として尽力し、成功を収めることができた(6月)。同学会企画・参加を通じ、国内外の多くの研究者・実践家・地域の人たちと知り合い、それを次年度からの研究の展開に向ける段階に入っている。同学会では研究面での進展も図るべく、日本の共同的資源管理に関するプレワークショップの座長、同大会議長のマーガレット・マッキーン氏とともに「日本の資源利用過少問題」のセッションを企画し報告した。また、同氏と進めてきた編著本'Revivals of the Commons'刊行にむけ、丸2日間におよぶ集中的な議論の場(3月)を持った。 また、事例研究の進展については、研究計画作成当初、上記国際学会の開催により不可能と思われた英国調査を実現した。同調査ではコモンズやフットパスをめぐる新たな展開について資料収集や現場踏査を実施した。愛知県豊田市稲武財産区についても、予定通り4日間(10月)の現地調査を実施し、財産区有林を活用した新住民定住化プロジェクトなどの新たな試みについて研究を進めた。また森林ボランティア活動については、研究計画作成時に視野に収めていなかった学校林活動における同活動の展開が顕著にみられることが判明したため、神戸市立妙法寺小学校・北須磨小学校・君影小学校で聞き取り調査・参与観察を行った。 またこれまでの報告をまとめるべく、英国の資源管理に関する学会報告を環境経済・政策学会(9月)で、稲武13財産区について林業経済学会(11月)で報告を行った。他方、日本社会心理学会(11月)でコモンズの正当性に関する指定討論者、日本森林学会100周年国際記念シンポではマッキーン氏の基調講演の指定討論者を務めるなど、研究のみに特化するのでなく、次年度以降につながるネットワーク拡大に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理由と以下の点。 1)夏季休暇を利用し、英国調査を実現できたこと。 2)講演や討論者依頼が予定していたより多く、そのいずれもで貴重な情報を交換できたこと。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に得た新たな人的ネットワークはもとより、研究上の有益な知見を活かすべく予定に即して調査を展開する。とりわけ、次年度は、東京大学の齋藤暖生の協力を得てスウェーデンにおける万人権についての現地調査(対面聞き取り調査を予定)を実施することが研究上の大きな目標である。 同氏をはじめすでに既知であるゲッティンゲン大学の複数の研究者とともに研究の基盤を整備していく予定である。伝統的入会を継承する財産区(閉鎖型コモンズ)や学校林がいかなる形で内外の協働を進め、資源の協働管理(協治)を実現していけるかという課題を森林ボランティア活動などから考究していく予定である。
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