研究課題/領域番号 |
25340151
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
日高 健 近畿大学, 工学部, 教授 (30309265)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 里海 / 沿岸域管理 / 沿岸域総合管理 / 共同漁業権 |
研究実績の概要 |
25年度に行った都道府県の水産部局へのアンケートに合わせ、都道府県の環境部局を対象にしたアンケートを実施した。さらに、それらのアンケート結果を整理し、分析した。また、文献や報告書に取り上げられる里海や沿岸域管理の事例を収集し、全体の把握を行うとともに、25年度に行った事例アンケートの分析と事例の訪問調査も行った。 アンケート結果から、現在、日本で里海や沿岸域管理として活動を行っているものは、232件と推定された。また、都道府県アンケートから管理の内容についても情報を得られた。管理の中心となっているのは市町村、都道府県、漁協、NPOの順に多く、事務局では市町村、都道府県、NPOが多かった。また参加団体では漁協、都道府県、市町村、住民団体が多かった。里海・沿岸域管理における市町村と漁協の役割が注目される。事例アンケートでは、事務局の機能と成果の間に相関があるように思われた。 里海と沿岸域管理のさまざまな事例を、空間的広がりと多様性の2軸で分類して配置した。もっとも狭く、多様性の少ない領域に共同漁業権管理から発展する坊勢の遊漁裁判の事例や日生町漁協の取組みが入る。石垣島の白保や博多湾の和白干潟、丹後半島の琴引浜は狭い海域で多様性が高くなった取り組みである。それぞれの取組みを詳細にみると、組織や活動内容の発展が観察され、里海のダイナミクスが見て取れる。また、一部の活動組織から地域あげての取組みに拡大しているものも多い。以上はボトムアップ・アプローチである。広域の事例では、大村湾はトップダウンで全政府上げてのアプローチであるのに対し、香川県は支援型アプローチとなっており、それらは補完的と思われた。市町村や漁協が中心となった地域レベルでのボトムアップ型アプローチと、都道府県が主体となるトップダウン型アプローチの2段階管理が想定されるが、支援型アプローチはそれらをつなぐものと推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた数の事例調査はできなかったが、三種類のアンケートを行ったために、里海や沿岸域管理の全体像を把握することができた。また、当初は類型化を想定していたが、類型化して固定的にとらえるよりも、管理システムは変化するものとしてダイナミクスをとらえた方がよいとして、方針変更を行った。その結果、類型化するよりも異なるアプローチ間の補完関係というとらえ方が可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
地域レベルでのボトムアップ・アプローチの推進組織の基本的な構造について、さらに都道府県レベルでのトップダウン・アプローチと支援型アプローチの補完関係について仮説を立てることができた。最終年度は、それを立証するために補完的な事例調査を行うとともに、アンケート結果を使った統計分析によって、構造的な特徴を明らかにする。 事例調査は、都道府県レベルでの管理を行っている事例を中心に実施し、全政府あげてのアプローチを達成するための条件、トップダウン・アプローチと支援型アプローチが補完的に機能するための要件について探る。調査先としては、長崎県、香川県、鹿児島県に対する補完調査を中心に、都道府県レベルで全政府あげてのアプローチをとっている事例をさらに探索し、事例調査を行う。また地域レベルでの取り組みについても補足調査を行い、仮説の立証を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に実施する予定であった国内の事例調査が、事例が活動していなかったり、活動内容が適切でなかったりして、予定していた数をこなすことができなかった。また、海外の調査ならびに国際学会での発表を予定していたが、国内で開催されたために、そちらに参加して発表したため、海外旅費を使用することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
3か年計画の最終年度であるため、これまでの調査結果を踏まえ、事例の補完調査と研究成果発表のための学会出張を行う。 国内の事例調査は、香川県、長崎県、鹿児島県に補足調査に行くとともに、県レベルでの取り組みを行っている事例(静岡県、石川県など)に調査に行く。調査先は、26年度に行ったアンケート調査の結果を精査して決める。海外は、マレーシアで開催される学会に参加するとともに、アメリカ(ボルティモアあるいはフロリダ)の研究機関に調査ならびセミナー参加のために海外出張を行う。
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