バングラデシュにおいて,社会開発課題の解決のために援助によって導入された施設は,援助主体からの支援や関与が限定的となる管理段階で,コミュニティによる管理が求められることが多いが.本研究では,この成否を左右する要因を考察した.自立的にコミュニティ施設が適正管理されている状態を規定し,これをもたらすために必要な要件を明らかにした.これらの要件を満足するうえで,コミュニティにおける社会への信頼性や利他性といった社会関係資本が影響を与えていることを示し,社会関係資本が脆弱なコミュニティが,陥りやすい問題を克服するため,社会的準備としての啓発活動の重要性,地方政府等の外部者関与の必要性を指摘した.
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