これまでに、体験を通して工学的な知識を理解すること、確認することを目的に、展示物やワークショップなどを開発してきた。最終年度である今年度はこれらの集成として、大規模な企画展および放送番組の制作協力を行った。 まず21_21 DESIGN SIGHT企画展「動きのカガク展」に学術協力として参加し、工学的知識の経験的理解の実践を行った。企画展ではベルヌーイの原理や4サイクルエンジンの仕組みなどを解説するアニメーションの制作に協力し、また18世紀に実用的な機械の仕組みを収集した百科全書の紹介を行った。さらにこの企画展に関連して、機構を組み立てて理解する「機械の素」ワークショップを行った。参加者はレーザーカッターで加工した部品を使い、並行リンク機構、楕円定規、ゼネバ機構などを組み立てて、機構がどのようにして目的を果たすのかを手で確かめた。ワークショップの対象を中学生以上としたが、実践的に組み立てながら動作を確かめる構成になっていたため、動作原理が視覚的に理解されただけでなく、背後にある数学についても興味を持たせることができた。 そして工学知識の理解をメディアによって促進する目的で、NHK教育番組の10minボックス「TAKE TECH」の制作に技術監修として参加した。この番組は小学校高学年から高校までの技術科の授業を補助するための放送であり、各回ごとに流れを制御するバルブ、電気を熱にするヒーターなどのテーマがある。特に模型を使ってモノの動作原理やうまく動かすための工夫を理解できるように説明するなど、視覚的に理解しやすくなるようなメディアデザインを行った。
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