研究課題/領域番号 |
25350005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤井 晴行 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (50313341)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | デザイン科学 / 写真 / フィールド調査 / 意味論 / 記述 / 経験 |
研究概要 |
1.デザインの現れである事例の基礎資料の生成 生活に根差すものごとの現われと見ることができる事実(事態や出来事)を調査フィールドにおいて収集し,次の要領で基礎資料を生成する.土着的または伝統的な生活と現代的な生活とが融合する国内の都市や集落として,都内数カ所,滋賀県高島市針江地区,北海道函館市西部地区を調査フィールドに選定し,以下を行った.1)写真を撮影する.撮影する際に,いかなる事実を被写体としているのか,被写体である事実がデザインのどのような現れであると解釈しているのかを意識する.2)各写真について,写真上で視覚的に認識可能な事態や出来事を命題文(主語と述語があり,真偽を決定可能な宣言文)として記述する.これを事実記述とよぶ.3)各写真について,記述した事実をいかなるものごとの現われとして観ているのかを命題文として記述する.これを現象記述とよぶ.(4)各写真について,記述した事実と現象の社会的効果や文化的効果(行為や情動など,経験に対する効果)を推論し,命題文として記述する.これを経験記述とよぶ.5)写真毎に撮影情報,写真,事実記述,現象記述,経験記述の五つ組を作成し,これらをまとめたものを基礎資料とする. 2.デザインの事実・現象・経験を関連づける法則性の分析 言語における統語論,意味論,語用論を踏まえ,記述対象領域に依存しない多種記号体系を関連づける形式表現の方法を応用し,上記基礎資料から,事実記述,現象記述,経験記述の関係を分析することによって,デザインの事実,現象,経験を関連づける法則性を抽出する手がかりを探っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績のうち,フィールド調査による「デザインの現れである事例の基礎資料の生成」は順調に進展している.「デザインの事実・現象・経験を関連づける法則性の分析」については,得られた知見を体系化しつつある.これも,予定通りである.
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今後の研究の推進方策 |
「デザインの現れである事例の基礎資料の生成」においては,フィールド調査を重ね,基礎資料を充実させる.「デザインの事実・現象・経験を関連づける法則性の分析」においては,言語の意味論を参照して,法則性に関する知見の体系化を継続する.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に計画していた北海道函館市のフィールド調査の一部を気候や現地の状況などを踏まえて26年度に実施することにした. 26年度に延期したフィールド調査を同年度の早い時期に行なう(注;北海道函館市のフィールド調査は4月に 実施済であり,5月にも実施予定である),滋賀県高島市を対象とするフィールド調査及び分析から得られた知見をもとに論文を執筆中である.26年度前半のできるだけ早い時期に投稿する.
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