研究課題/領域番号 |
25350006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
畦原 宗之 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (50401782)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 感性情報処理システム / 工業デザイン / コンセプトデザイン / 概念木 / 対話型進化計算手法 / ファジィ理論 / 事例ベース推論 / 脳波 |
研究概要 |
本研究の目的は、コンピュータにより生成した製品の形の特徴情報を、概念の木構造の形式で表現された言語ネットワークとして整理し、同じ種類に属する他の製品の形の決定に活用できる感性的知識=コンセプトモデルを獲得する事を支援する手法およびシステムの構築である。 研究1年目では、まずこれまでに開発した「対話型コンセプトデザイン生成支援システム」について再検討および拡張を行った。ファジィ理論により食器の部分毎のパラメータ値とその言語表現が一緒になった特徴表現ルールが提案・利用されているが、実際の食器の言語表現との関連を追及し、食器の平均的な大きさ等を調査検討した。 提案システムでは次にデザイナーであるユーザが幾つかの物理的特徴を概念的、感性的な言語表現にまとめいく。研究計画調書で述べたように、本研究はこの操作に関する適切な手法およびインタフェースの提案が重要となる。システムはユーザ自身の入力のほか、これまでの事例を基にシステムがある程度推論し、自動的に入力する形式とするため、実際の食器の形状に関連する言語表現を調査した。これまで提案したシステムのように、側面の形状を確認するだけでなく、上部、底部など、3次元の形状特徴をルールとして保存する形式に拡張する事を検討した。 また、システムでは人間の感性に基づくシンプルな主観評価と修正を繰り返すことで、同様の感性イメージを持つ2種類の食器の形状をデザインするが、評価の繰り返しによるユーザの疲労は常に問題となる。この解決策として、主観評価の獲得に、人間の脳波情報を利用できる可能性を検討した。検討の初期段階として複数の音楽の候補に対する聴取者の脳波状態の差が獲得できるかどうか簡易脳波計で計測した。音楽聴取ではある程度の差を計測し、評価を推測する手法を示せたことで、対話処理が欠かせない本システムにおいても、根本的な部分の改善が行える可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
概念をまとめ、木構造を上昇するための製品に関する一般的知識を調査収集したが、事例ベース推論の方式に基づいて、より適切に、整合性を維持しながら複数の事例を保存、また追加する手法について、引き続き検討する必要がある。また、対象に考慮している食器の形状については従来の2次元による側面図のみの提示から、3次元による多くの視点からの形状の提示、および言語表現を行うが、コンピュータの描画による具体的な3次元形状の出力と表示についてはまだ実装されていないため、検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2次元から、3次元の製品形状の生成、出力が可能なシステムに拡張して実装し、システムを利用するユーザが製品形状を見て主観評価できるシステムを構築する。またその有効性を検証する。次に、製品形状の提示と主観評価によって獲得された製品形状について、コンセプトモデルの獲得を支援するユーザーインタフェースを考案し、プロトタイプシステムを実装する。概念の木構造による表現が視覚化され把握できる形とし、ユーザは、言語表現された複数の概念を把握しながら操作することで、ユーザ自身の目指すコンセプトモデルが具体化されることが実感される事を目標とし、ユーザのに関する使用感などをシステムの構築にフィードバックしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
文献調査、アンケート調査、研究協力者によるプログラム作成、構築したシステムに関する被験者による対面の操作実験、等に関する研究補助の人件費を支払う必要があるため。また研究動向の調査、成果報告のための学会参加に関わる旅費、成果の公表のための論文別刷料等が必要となるため。 次年度では文献とアンケートによる感性語の選定、形状とその言語表現に関する事例の追加、および被験者による対面の操作実験などを計画する。また、より具体的で規模の大きなシステムを構築、実装する際に、研究代表者だけでなく研究協力者による補助を受けることを計画する。また研究動向の調査および学会参加、論文投稿等による研究成果の報告を行う。
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