研究実績の概要 |
本研究の目的は、良好な景観まちづくりを実現するための景観予測手法として、身近で手軽な端末を用いて、屋外で過去や将来の景観を重畳可能なAR(Augmented Reality)システムを構築するものである。平成27年度に取り組んだ主な内容は、下記の通りである。 1.位置合わせ手法の実装:昨年度までに検討した幾何学的位置合わせ手法を実現するためにC/C++言語で実装した。具体的には、SfM (Structure from Motion)技術により建物等の3Dモデルを構築するために用いた写真をデータベースとして、AR実写映像との位置合わせを特徴点ベースにより行う。画像マッチングに成功した写真の撮影位置・姿勢情報を、AR仮想カメラの位置・姿勢情報に定義することにより、マーカーレス・ビジョンベース手法により高精度な位置合わせ手法を実現した。開発したシステムを実際のオフィスビルの設計検討で試行した。 2.ディスプレイの検討:昨年度までに検討したビデオ透過型ヘッドマウントディスプレイに加えて、光学透過型ヘッドマウントディスプレイを導入した。1.で開発した位置合わせ手法を光学透過型ヘッドマウントディスプレイ上で動作させるためJava言語で実装した。開発したシステムを大阪大学吹田キャンパス内のビルを対象として検証実験を実施した。 3.上記1, 2の研究成果について、都市・建築設計分野のコンピュータ援用に関する国際会議である、CAADRIA2016(21st Annual Conference on Computer-Aided Architecture Design Research in Asia)、ICCCBE2016(16th International Conference on Computing in Civil and Building Engineering)に投稿し、査読審査を経て受理された。また、eCAADe2015(Education and research in Computer Aided Architectural Design in Europe)に出席し、昨年度の研究成果を発表するとともに、当該分野における最先端の研究内容を調査した。
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