本研究は、人口減少や高齢化などの諸問題を抱える地方都市が活力を持ち持続的に発展するためには、競争優位性のある地域資源を発掘し、それらを活用した新産業創出や既存産業活性化を図る継続的な地域ブランディング活動と、その活動を通じて自律した地方都市同士が連携・協調した自律分散協調型社会を形成することが重要であるという仮説のもと、地域ブランディングとデザインとの関係と役割に着目し、北部九州を研究対象に、文献調査と地方自治体及び地域産業関連団体などの関係者への聞き取り調査を通じて、地方都市が発展し続けるための要素の抽出と、その関係をモデル化した方法論を提示することを目的としたものである。 平成27年度は、前年度に考案した「地域産業活性化プログラム・マネジメントスキーム」のさらなる精緻化を図るために、一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター(会員数:全国約150)、唐津ブランド確立推進協議会、福岡市内の農林水産物・食品の輸出関連団体などの関係者への聞き取り調査、及びフランス、韓国などで化粧品産業に係る調査を行った。 研究成果として、平成27年度は地方都市(特に九州)から人口流出を防ぐためには、農林水産業を基盤にした新産業創出とクラスター形成(例えば地域素材を活用した自然派化粧品産業)による雇用創出と、若年層と外国人観光客にとって魅力ある観光都市の構築(例えば美と健康をテーマにしたまちづくり)が重要との知見を得た。また、産官学連携による新産業創出を推進するためのベンチャー支援制度とインキュベーション機能、及び関連産業の人材育成プログラムが不可欠で、加えて新市場開拓を図るため九州の関係機関が一体となって農林水産物・食品、工業製品などの輸出推進プラットフォームを構築することが重要との知見を得た。そして研究期間全体の成果として修正版「地域産業活性化プログラム・マネジメントスキーム」を作成した。
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