本研究は、紙・デジタルペン・タブレット端末の組み合わせによる、“紙に書く(描く)”ことを重視した視点からデジタル教科書を開発する教科書のユニバーサルデザインの実践的研究である。デジタルペンの機能により、教員のパソコンと生徒側の紙に書く情報がリアルタイムに反映されるシステムを使い、どのような授業実施が可能なのか様々な取り組みを小学校の実際の授業で実験を行った。28年度は、27年度から継続している授業実践に使用するために充電保管が可能な安定したシステムを再構築し、授業実施の継続を行った。研究協力校は、京都教育大学付属桃山小学校、平岡信之教諭の協力のもと、授業内容としては、国語、算数、理科に加え、総合学習での日常的な生徒達の発表とディスカッションをサポートした。 後半は、本研究のまとめとして、生徒達の記入内容やディスカッションに関して分析を行い“紙に書く”ことを重視したデジタル教科書のアイデアをまとめた。 本研究全体を通しては、限られた予算の中でのシステム仕様でもあり、既存のWifi環境との不具合の発生や使う上での破損、一部の機器の不具合で予定していた授業をこなすことができない状況や、デジタル機器に特有の解決できない問題が発生したこともあった。しかし実際に様々な授業実践を行い、そのデータが克明に紙とデジタルに残っていることは、大きな成果であったと考えている。 また本研究は“紙に書く(描く)”ことを重視した視点からデジタル教科書を考えることが課題であるが、具体的には教科書から実践する指導案として様々なワークシートを作成し、それを共有することにより充実したコンテンツが制作が可能になることがわかった。実施においては、様々な実験的な授業が構築できたことや、タブレットPCの書き込み機能にくらべ、活発な使い方が実施されたのは成果であった。
|