研究課題/領域番号 |
25350023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
藤井 尚子 名古屋市立大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (30511977)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 病衣構造別使用状況の調査 |
研究概要 |
本研究は、さまざまな症例ごとに適合する多様性・選択性を考慮した「病衣」デザインの研究及び開発をめざすものである。当該年度は、病衣における多様性・選択性への指針の策定を目的としており、その方法として、①既往病衣をもとにその構造別使用状況を調査すること②担がん女性患者を対象とした使用病衣の現状調査および③症例別身体的負担部位と病衣構造の相関性を考察することを予定していた。上記3点の内、当該年度の研究成果は、①のみである。 ①では既往病衣の構造、素材、色・図柄を分類し、その上で使用状況の利点欠点を明らかにするとともに、既往病衣の問題点を抽出した。まず病衣の構成と構造を分類し、それぞれの使用状況を医療機関の視察や医療従事者への聞き取りをもとにまとめた。さらに、病院で一時貸し出しされるレンタル病衣の構造・形状、サイズ、配色の調査も行った。以上の分類より、男女兼用の形状・構造でサイズ展開がなされている現状病衣は、医療行為には適しているものの、性差への考慮が少ないことが明らかになった。特に、女性において日常的に装着するブラジャー等の下着は、医療行為や看護行為の負担となるため、基本的に着用することができない。女性患者にとっては、これらの下着を着用せず、前開き型且つ性差のない構造の病衣の着用は心理的不安を感じさせるものであると考えられる。これらをふまえ、衣服および着衣状態が非日常になりがちな女性患者を対象に、医療行為に適した前開き型病衣であり、且つ、性差に適した前身頃の素材ならびに形状の再考は有意であり、その点から、第二期の研究計画を前倒しし、絞り加工を施し、熱プレス機による厚み感や嵩高感のあるテストピースを作成、素材検討を行うこととなった。現時点でも進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、女性患者を対象とした症例別病衣デザインの研究及び開発を最終目標としている。そのため、対象に担がん女性患者を医療従事者より推薦・選定してもらった上でヒアリング調査ならびに着用実験なども行う予定である。当該研究年度では、調査及び研究対象者を選定し、ヒアリング等により現状病衣との関わりを研究する予定であったが、研究代表者の体調不良等により、調査実施時期が未確定となってしまったこともあり、医療従事者への調査対象者の推薦を依頼できなかったことなどの理由から、当初の予定どおりの研究進捗が得られていないため、現在までの達成度は(4)とした。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度で未達成の調査を、第二期(平成26年度)において実施する予定である。今後、最終年度で予定している病衣プロトタイプの開発の研究を推進するために、症例については2~3例に絞り込み明確な設計要件を得る事をめざす。なお、第二期の研究実施計画に従い、「有松・鳴海絞」にみるテクスチャー表現および種々の技法と機能性の相関についての分類も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度研究計画のうち、担がん女性患者を対象としたヒアリング調査が未実施となった。また、当初は国内外調査を予定し旅費に計上していた予算は未実施のため未使用となった。一方、当初は次年度使用予定であった熱プレス転写機を当該年度に購入した。以上の理由より次年度使用額が生じている。 当該年度未実施となったヒアリング調査に使用を計画している。
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