研究課題/領域番号 |
25350024
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
上甫木 昭春 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70152858)
|
研究分担者 |
川田 佳子 (押田 佳子) 日本大学, 理工学部, 助教 (10465271)
上田 萌子 兵庫県立人と自然の博物館, 自然・環境マネジメント研究部, 研究員 (10549736)
浦出 俊和 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (80244664)
大平 和弘 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 客員研究員 (90711169)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 祭司空間 / ウタキ / パカーラ / カミヤマ / モイドン |
研究概要 |
八重山、奄美、鹿児島の3地域における祭司空間の存在状況、認識状況、祭りの実施状況、管理状況などについて、行政および地域住民にヒアリング調査を実施した。 八重山では、川平地区の5つのウタキについて、現在も継続的な祭り、管理がなされていることを確認した。さらに4つのウタキの属地であるパカーラについては、住民の認識が薄れてきているが、土地改良事業での存続やパカーラの祟りに係わる最近の出来事が聞かれるなど、なおその存在に対する恐れなどが残存していることを確認した。 奄美では、博物館および2集落においてヒアリングし、カミヤマやそれに係わる空間(トネヤ、カミミチなど)の存在は認識しているが、これまで里山的な利用もされてきたことを確認した。さらに、区画整理事業や道路整備などにより、トネヤの位置が変更されたり、カミヤマが改変されるといった状況が発生していることを確認した。 鹿児島では、肝属郡の民俗研究者にヒアリングし、数カ所のモイドンの存続状況を確認したが、住民の意識は薄れてきているようである。さらに、集落の背後の山などを聖域の柴山としていた集落が20カ所程度あったこと、およびその内1カ所において祭礼が存続している情報を入手した。 以上のように、都市化や過疎化の影響を受け、その存続状況は地域間で異なりつつも、確実に変容し続けていることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の調査結果にも述べたとおり、祭司空間としてのパカーラ、カミヤマ、モイドンに対する認識が、各地域で薄れてきている傾向にあり、詳細な調査対象空間の選定に苦慮している状況にある。したがって、本来予定していた空間特性の把握は、現地踏査した対象地の概況把握に留まっている。ただし、住民への意識調査に先立ち、現状での祭司空間に対する係わりの実態は、一定程度把握されつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
各地域の祭司空間の存続に関して、都市化や過疎化の影響を顕著であることを確認したので、各地域における土地利用や都市計画の時代的変遷、人口動向、産業構造などの社会的な変容を把握する。さらに、初年度のヒアリング結果をもとに、詳細な調査対象エリアを設定し、各地区の詳細な空間特性の把握を行うとともに、行政および地域住民のそれぞれに対してより詳細なヒアリングを実施し、祭司空間に対する認識構造を把握する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
詳細な調査対象地の設定が次年度になったため、それに係わる基礎資料の購入などが次年度に繰り越したため 詳細な調査対象地の設定を行い、それらの空間特性を把握するための基礎資料を購入する
|