研究課題/領域番号 |
25350036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
見寺 貞子 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (10268576)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | がん患者 / 脱毛 / 帽子 / Wigs(かつら) / 快適な衣生活 / ユニバーサルデザイ |
研究概要 |
25年度は、がん患者に配慮した帽子とウィッグの市場調査を国内外で実施した。 国内では、独立行政法人国立がん研究センター主催の「がん患者さんの暮らしが広がるアイデア展2013」に参加。彼らの生活に役立つセミナーや製品、アイデアに関して調査を行った。海外では、医療福祉の先進国である北欧(デンマークとスウェーデン)の福祉施設やがん患者センターを訪問。デンマークでは、がんで抗がん剤治療を受けて脱毛した患者に対して、帽子を被る事をあえて進めていない、という意見もあった。スウェーデンでは、国からWigsを1個無償で提供しているとの事。患者からは、洗い替えが欲しい、臭い匂いが取れないなどのクレームが出ているが、その対策は未だ考えられていない。帽子に関しては、がん患者特定の帽子は無く、巻き式のバンダナを付けている人が多いとの事。国により考え方やデザインに差異がある事が明らかになった。アメリカでは、福祉機器展示会や福祉施設、福祉用具店を訪問。福祉機器展示会では、帽子とウィッグを販売している企業が一社のみ出展していた。日本で生産販売されているがん患者のための帽子とウィッグを海外と比較すると、日本の方が素材の質は良いが、海外の方が、織物から編物まで幅広く使用されており、柄物も多かった。デザインに関しても被り式から巻き式まで幅広くデザインされていると思われた。これらの差異は、国の風土や嗜好により生じていると考える。患者のヒアリング調査では、(株)スヴェンソンを訪問し、患者の帽子とウィッグに関しての情報収集を行った。治療中の時期により頭皮と髪の毛の育毛状態が変化するとの意見があり、この点につき考慮する必要があると思われた。 これらの調査を踏まえて、がん患者の生活の質を向上させる機能性(着心地)と美観(見た目の美しさ)に配慮した「ヘアハット」の設計理論構築を次年度に向けて遂行していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者(がん患者)に対し、帽子・ウィッグに関してのヒアリング調査を行うとともに、並行して、がん患者に配慮した帽子とウィッグの市場調査を国内外で実施し、国別のデザイン特性が明らかになった。 これらの調査結果から、日本の風土や季候、志向に適した「ヘアハット」の仮説設定(デザイン・素材・柄等)を行う事が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、がん患者に対し、帽子・ウィッグ、入院生活における衣類に関してのヒアリング調査を実施する。 並行して、仮説に基づいた帽子のサンプル(素材×編地×形状)を制作、頭部マネキンを用いて、快適性(温湿度)の実験・評価を行う。これらの調査結果を踏まえて、がん患者が快適に感じる素材と織り、デザインのサンプルを試作し、ガン患者に対して試着評価を実施する。
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