研究実績の概要 |
妊婦のビタミンD充足状況とアレルギー様症状との関連 環境省の子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)追加調査『黄砂と子どもの健康調査』にて収集された、妊婦の日々のアレルギー様症状のデータ3,363例の29,434回答から、2012年4月・10月、2013年1月・4月に採血をした妊婦の、採血後から3ヶ月以内の回答(793例の5,608回答)を抽出し、ビタミンD充足状況(血中25(OH)D 濃度)とアレルギー様症状発現との関連をみた。 25(OH)Dは、793例中575例(73%)で20ng/mL未満であった。一般化推定方程式により、ビタミンD不足(25(OH)D<20ng/mL未満)のアレルギー様症状発現(アレルギー症状スコア>0)リスクを、1.28(95%CI: 1.01-1.62, p=0.041)と算出した。ビタミンD不足群(<20ng/mL)では、花粉飛散時、黄砂飛来時ともにアレルギー様症状発現リスクが有意に上昇していた(OR 1.51, 1.27-1.79, p<0.001; OR 1.39, 1.18-1.64, p<0.001)。一方、ビタミンD充足群(>20ng/mL)では、リスク上昇は低減されており有意なリスク上昇は観察されなかった(OR 1.10, 0.76-1.60, p=0.61; OR 1.14, 0.78-1.66, p=0.49)。なおこの結果は、スギ花粉抗体価等で調整しても、同様であった。 以上、わが国の妊婦において、ビタミンD不足がアレルギー様症状発現リスクとなっていること、そしてビタミンD不足があると、花粉飛散時や黄砂飛来時にアレルギー症状発現リスクが有意に高まることを示した。ただし、ビタミンD充足群でのオッズ比95%信頼区間が広いため、ビタミンD測定サンプル数を増やした上で詳細な検討を行う必要があると考えている。
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