本研究は、山口県内の学童保育と放課後子ども教室の使用空間について調査し、その使用空間の問題を探り、とくに学校内に子どもの居場所空間を求める場合の空間整備の方策を明らかにすることを目的とした。 1年目(平成25年度)に実施した山口県下関市における代表事例の訪問調査、下関市内の学童保育と放課後子ども教室を対象とした質問紙調査、2年目(平成26年度)に実施した山口県内(下関市を除く)の学童保育を対象とした質問紙調査で得られた成果を、最終年度としてまとめ、子どもの居場所の空間整備のあり方を検討することが課題であった。 最終年度の成果は次のようなことである。まず、山口県内の学童保育は実施場所からおよそ3つのタイプがあることがわかった。1つ目は学校の余裕教室で実施するもの、2つ目は学校内や学校外の専用施設で実施するもの、3つ目は児童館や地域施設などの公的施設の一部で実施するものである。これらのタイプには施設・設備面でそれぞれに特徴があるが、子どもの生活の場として相対的に勝っているのは専用施設で実施するものである。次いでの成果は、今後の学童保育ニーズの高まりによって増加が予想される学校の余裕教室を利用する場合の整備方策に関してである。教室の使われ方の現状を整理すると、1つの教室を使用する例が多く、そのために生活と遊びのスペースを分けることができていない。保育人数が極めて多い場合に2つの教室が使用されているが、生活と遊びスペースに分けることができても、多人数のために効果がもたらされていない。通常の人数でも2つの教室を使用することでスペースの不足や混乱を回避できる。さらに、教室を学校施設から切り離して(管理替え)、台所設備等を設置することも必要である
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