研究課題/領域番号 |
25350048
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
鈴木 佐代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (90409269)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 放課後児童クラブ / 学童保育 / 子ども / 音環境 |
研究実績の概要 |
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)は、学校とは異なり多様な生活行為が行われることや近年の入所児童数の増加等により、会話に支障が出る、児童が大声になる等の問題が顕在化し、音環境整備や落ち着ける空間の確保が必要となっている。本研究は、留守家庭児童の第二の「生活の場」である放課後児童クラブを、落ち着いて生活できるような場所とするために、音環境の観点から、その生活環境を向上させることを目的としている。平成26年度は、以下の研究を実施した。 1.平成25年度に実施できなかった学校休業日の一日保育の日の行動観察調査、発生音の観察・記録を実施した。特に、放課後児童クラブで行われる多様な行為のなかから、生活の場として環境整備が求められる行為として、おやつを取り上げ、おやつの提供に関する環境整備について調査を行った。 2.開設場所や建物構造が異なる放課後児童クラブを対象に、児童が生活する部屋の騒音レベルの連続測定と残響時間の測定を行った。クラブの音環境改善や、新築・改築時に有用となる建築音響性能に関する基礎データを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度実施予定の、活動室と静養スペースにおける騒音レベルの連続測定と残響時間の測定は実施済みである。具体的には以下の通りである。 静養スペースの音環境の実態調査と静養のための空間整備に関する提案については、静養スペースとして使われる部屋において、騒音レベルの連続測定を行った。また、独立した静養スペースがあるクラブは少ないことから、静養スペースとして使われる部屋と活動室において、同時刻の騒音レベルの連続測定を実施した。これにより2つの空間の音の影響が明らかとなったため、これを室間音圧レベル差に代わる測定とした。さらに、独立した静養スペースがないクラブにおける、吸音パネルや吸音パーティション等を用いた静養空間の提案に関する予備実験を実施した。 パーティション等を用いた静養空間の遮音効果の測定およびインタビュー調査による改善効果の検討は平成26年度に実施できなかったが、遮音効果よりも発達障害児にとって問題となりやすい声の聞きとりやすさに重点を置くため残響時間の測定とし、平成27年に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
児童や指導員の生活行動などを考慮した上で、壁面の吸音パネル設置や吸音パーティション等を用いた改善手法を提案し、残響時間の測定およびインタビュー調査において、改善効果を考察する。 これまでの分析結果をまとめ、最終報告書を作成する。研究成果を学会等で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は少額であり、当該年度の助成金はほぼ使用したと言える。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は少額であるため、研究に必要な消耗品等の購入に合算して使用する予定である。
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