研究課題/領域番号 |
25350055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
岡野 雅子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (10185457)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 保育 / 保育環境 / 家族 / 家庭生活 / 子どもの視点 / 虐待防止 |
研究概要 |
幼児期の保育は環境を通して行うものであることから、保育環境をいかに整えるかは保育にとって最も重要な課題である。また、子どもを取り巻く保育環境の中で、家族は極めて重要な環境であるが、幼児期の発達は「家庭生活」の場において「家族」という人間関係の中で、幼児と家族員との相互作用の基に行われている。 保育環境についての検討は、従来から保育する側の観点からされており、その研究の蓄積は多い。しかし、保育する側から見た望ましい保育環境は、育てられる側から見たときに、果たして適切なものであるのだろうか。本研究は、育てられる側の視点に立った保育環境について、中でも人的環境として重要な家族についての検討を試みる。そこから得られた知見を基にして、今日の社会的問題である子育ち・子育てに対する支援のためのより良い保育環境について考察したい。さらに、児童虐待の一つである心理的虐待の予防に対する示唆を得たい。 初年度にあたり、関連する先行研究の整理を行うとともに、探索的接近として、今回は、大学生を対象として、自分の子どもの頃(できるだけ幼児期)を振り返って、育てられる側(子ども)から見た人的環境についての自己分析資料をもとにして考察を行った。その研究成果については、日本保育学会第67回大会(於:大阪総合保育大学)にて発表を行い、フロアから本研究の「問題の所在」の重要性ついて賛同する旨のコメントをいただいた。この知見を基にして、次年度は保育現場(幼稚園・保育所)において、幼児とのインタビュ-および遊びの観察、保護者への質問紙調査等の方法を用いて、実証的に解明していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度の研究計画として6項目を挙げた。それぞれの達成度は以下のようである。(1)先行研究の整理・検討については、ほぼ達成できた。(2)幼児を対象に行う面接および保護者を対象に行う質問紙調査票における質問項目の検討については、上記(1)のみならず、平成25年度に実施した大学生を対象に行った幼児期を振り返っての自己分析資料から得られた知見も併せて、検討を行っており、ほぼ達成できたと言える。 しかし、(3)幼児に対する予備面接、(4)幼児の遊び場面の予備観察、(5)保育者とのインタビュ-、(6)保護者を対象に行う質問紙調査の予備調査、の各項目については、まだ実施に至っていない。 これらは、研究協力園(幼稚園・保育所)の確保が必須である。研究協力園の確保については、研究代表者がかつてフィ-ルドとしていて保育研究に対して十分な理解と協力をいただいていた幼稚園・保育所が数カ所あったので、研究を始めるにあたり、態勢は整っていると判断していた。 しかし、それらの園の園長が定年退職となった等のため、改めて研究協力園としてふさわしい園を選定して協力を依頼する必要性が生じている。 保護者を対象とする質問紙調査や幼児とのインタビュ-、行動観察などの実施に対しては、研究の倫理性に鑑みて十分な配慮が必要であり、保育現場の理解と協力を得るとともに、本研究が保育現場における日々の保育に益をもたらすものとなるよう、具体的な研究の手続きについて検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
実証的な研究を行うためには、保育現場(幼稚園・保育所)におけるデ-タ収集は欠かせない。そのため、上記の「現在までの達成度」欄でも述べたように、適切な研究協力園を確保することに至急取り組む所存である。勤務校で指導している大学院生の中には保育所勤務の社会人もいることから、彼ら彼女らの意見も参考にして選定を進めている。 そして、研究協力園が決まり次第、以下のデ-タ収集を行いたい。 ①幼児の保護者を対象に質問紙調査を実施する。②幼児を対象に面接調査を実施する。③幼児の遊び場面の観察を実施する。 ④保護者調査の結果と幼児の面接調査および観察調査の結果を整理・集計して、育てる側(保護者)と育てられる側(幼児)の“ズレ”に着目して考察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では、平成25年度は保育現場に出向いての予備調査等のデ-タ収集を行う予定であったが、研究協力園(幼稚園・保育所)を選定中であり、確定していないため、保育現場でのデ-タ収集の実施に至っていない。そのため、使用額が予定より下回ってしまった。 平成26年度は研究協力園を決定し、デ-タ収集を行う。それに伴い、デ-タ収集のための物品費、保育現場(幼稚園・保育所)までの交通費、デ-タの整理のための謝金(アルバイト代)などが必要になる。
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