研究課題/領域番号 |
25350060
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
大木 和子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (70365807)
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研究分担者 |
清水 史子 昭和女子大学, 生活科学部, 講師 (40435269)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ロコモティブシンドローム / ロコモ度テスト / 自記式食事歴調査DHQ |
研究概要 |
1.目的:ロコモティブシンドローム予防のためのライフスタイル行動変容教育効果の評価に関する成果をふまえ、以下に焦点を当て、研究を遂行する。ロコモ予備軍地域住民を対象に、「ライフスタイル行動変容教育を行った群は、それを行わなかった対照群に比べて、ロコモ関連項目の低下を予防できる。また、その診断基準の個別のリスクファクターの低下に改善が認められる。」という研究仮説を、無作為化比較試験により検証することを目的とする。 2、研究経緯:ロコモ予備軍住民の身体活動・栄養状態についてライフスタイル行動変容の有効性を示してきた。(大木・木村、 Gerontology/ Health Sciences、Ecss)また、食生活については、東京大学佐々木敏教授との研究に携わり、本学でも身体計測、血液検査、畜尿と身体活動・食生活調査等実施(大木・清水)し、自記式食事歴調査DHQを開発し、論文でその妥当性と再現性を検討してきている(Nutrition/Nutr Sci Vitaminol/Am J Clin Nutr etc)。 3.介入及びアウトカムの定義:介入は、自記式食事記録DHQに基づく食教育とライフスタイル改善教育の有無である。アウトカムとしての評価指標は①に自己点検7項目。②に新たに発表されたロコモ度テスト(ロコチェック25該当数・片脚起立可能cm・2ステップテスト)によるロコモ度からの改善率で、③に食生活、臨床検査データの改善率。 4.今年度:・4月-6月:ロコモ度について、ロコチェックの診断基準であった定義に加え2013年3月発表の新たなロコモ度テストを追加し、測定項目の検討を行った。・7月-10月:活動量計を客観的測定項目に加え、ロコモ度と日ごろの活動量、食生活状況の食・ライフスタイル行動変容教育プログラムの検討をし、11月から西九州大学老人大学通学生の実態調査を開始し現在継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れている理由:アウトカム評価に新たな項目が発表されたことで再検討を行った。 ロコモティブシンドロームの評価について、従来からの診断基準であった自己点検7項目:①片脚立ちで靴下がはけない。②家の中でつまずいたり滑ったりする。③階段を昇るのに手すりが必要である。④横断歩道を青信号で渡りきれない。⑤15分くらい続けて歩けない。⑥2Kg程度の買物を持ち帰るのが困難⑦家のやや重い仕事が困難。に加え、2013年3月に、更に予防的に評価できるロコモ度テストが発表された。結果変数にロコモティブシンドローム状態からの改善率やその診断基準の個別のリスクファクターである骨粗鬆症、変形性関節症、神経根障害のベースラインからの変化量とすると、地域住民においては該当者が少なかった実態から、今回の2014年度から使用される、新たな予防的観点が加わったロコモ度テストを追加し、さらなる予防的観点からの測定項目の検討を行った。発表された当初なのでデータの蓄積も文献も少なかったことから、ロコモ度テストに活動量計を客観的測定項目に加え、測定項目の新たな検討をし、再構築をすることとしたので、計画はやや遅れていると判断した。、食生活状況の食・ライフスタイル行動変容教育プログラムも再検討をし、11月から西九州大学老人大学通学生の実態調査を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
食教育・ライフスタイル行動変容プログラムの介入の検討と開始 2013年度の結果から、DHQの食生活結果:食行動と朝・昼・夕食ごとの栄養素、食品群別摂取量などの分析データが得られることから、これらの食情報を基本に食教育を行う。更にメンタルヘルス・身体活動量調査から、個々人の性格・行動特性に応じた認知行動修正療法を中心に、ライフスタイル行動変容教育を行う。以下の事項を教育の要点とする。 1)科学的根拠に基づく身体とこころ・食生活・運動バランスの意義 2)ロコモティブシンドローム改善の意義 3)科学的根拠に基づく朝食摂取・規則正しい食事リズムの意義と実践法 4)科学的根拠に基づく生活の中での身体活動・運動のバランス訓練と動的筋力訓練の実践法 5)こころの健康と楽しい食事の意義と実践法・自律訓練法の習得と実践法 6)科学的根拠に基づく食品選択の意義と実践法 7)科学的根拠に基づく適正食事量の意義と実践法 ただし、1の基本は、2013年発表の「身体活動基準2013」に、6・7の基本は、2014年度発表予定の「日本人の食事摂取基準2015」に準拠するものとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年に、ロコモティブシンドロームのアウトカム評価に新たな項目が発表されたことで再検討を行ったため、研究実施のスタートが遅れた。調査開始が11月になり現在集積データを解析中である。 解析結果を基に、当初計画であった7つのロコチェック項目で評価する「ロコモティブシンドローム予防のためのライフスタイル行動変容教育効果の評価に関する成果」に新たな「ロコモ度テスト(ロコチェック25問診・椅子からの立ち上がりテスト・2ステップテスト)」を加えた。より予防的・段階的に評価できるようになった「ロコモ度テスト」に焦点を当てていくため、「ライフスタイル行動変容教育」実施の検討を進めている。ロコモ予備軍地域住民を対象に、「ライフスタイル行動変容教育実施群は、それを行わなかった対照群に比べて、新たな「ロコモ度テスト」を加えたロコモ関連項目の低下を予防できるかを検証する。 1、「ロコモ度テスト」身体能力評価のための協会認定測定器具の購入予定:ロコモティブシンドロームのアウトカム評価のための標準的測定器具が発売されるようになったため、導入を予定している。 2、現在解析中であるデータから「ライフスタイル行動変容教育」プログラムを再構築する:食生活に加え身体活動・心理学等の専門的研究会議を重ね、プログラムを完成させる。より予防的・段階的にアウトカム評価できるように検討していく。 3、昨年度解析の一部を成果として海外の学会で発表する予定である。
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