研究実績の概要 |
平成25年度より開始したドライアイス(二酸化炭素)+CDCトラップによる日本脳炎ウイルス媒介蚊(主にコガタアカイエカ)採集を既存6箇所+新規6箇所(本助成により増設)、計12箇所で実施している。 2013年度夏期:石川県は高温多湿でコガタアカイエカ発生数が非常に多く(10,401頭)、日本脳炎患者発生が懸念されたが県内での発生は確認されなかった。ウイルスRNA検出(RT-PCR法)でウイルスは確認されず。 2014年度夏期:日照時間と降水量共に多く、最高気温はあまり高くなく、コガタアカイエカ発生数も少ないシーズンだった(3,306頭)、日本脳炎患者発生はなし。ウイルスRNA検出(RT-PCR法)でウイルスは確認されず。 2015年度夏期:前半は好天、高温であったが後半(お盆明け)は悪天候が続きコガタアカイエカ発生数は少なかった(3,958頭)、日本脳炎患者発生はなし。ウイルスRNA検出(RT-PCR法)1/92サンプルでウイルスは確認。 2013-2015年度北陸地方での日本脳炎患者発生は確認されていないが媒介蚊発生数が増加した場合、患者発生リスクは低くない。本研究での蚊採集地点は何れも畜舎(牛豚)近隣に水田、畑、商業施設、民家、校舎(保育園、幼稚園、小学校や中学校)や介護施設が混在しており、ヒト生活圏とウイルス(媒介蚊と増殖動物)が濃厚接触する可能性が高い地域である。2007年夏期には日本脳炎国内患者数9例中2例が石川県で報告されており、突発的に患者発生の可能性に備えウイルス媒介蚊のモニタリングを継続することが重要である。
|