研究課題/領域番号 |
25350069
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
田中 勝 山梨大学, 総合研究部, 教授 (70202174)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歴史的町並み・集落 / 生活文化 / 地域共創 / 住まい・まちづくり / 住教育 / ペーパークラフト |
研究実績の概要 |
前年度の研究成果および次年度の研究計画を踏まえ、今年度は主に次の成果を得た。 1.愛媛県内子中学校の協力を得て大村家住宅ペーパークラフトを活用した総合的な学習の時間の授業実践を試みた。具体的には内子中学校1年生を対象に総合的学習の一部としてペーパークラフトを組み立てる時間を設けた。ペーパークラフトの導入は、生徒が大村家住宅の歴史や建物の特徴を理解し、町並み保存の必要性やまちづくりの課題について具体的に考えていくための手立てとなった。 2.福岡県うきは市新川田篭伝建地区にある国指定重要文化財・平川家住宅のペーパークラフトを新たに開発した。平川家住宅はくど造り民家の一つで、九州北部の伝統的民家の造りをよく残しており、地域の住文化や町並み保存について学習する教材として学校教育での活用が期待される。他地区のペーパークラフトと比較すれば、全国的な視点から地域の生活文化に目を向けさせることが可能になる。 3.沖縄県竹富島伝建地区内の民家および集落を対象とした地域共創の住まい・まちづくり学習の調査を行った。具体的には国指定重要文化財・旧与那国家住宅の保存修理工事にあわせて行われた竹富小中学校での総合的学習の実践を取り上げ、研究紀要およびその他論文の分析と教員への聞き取り調査より、学校と地域との連携による学習プログラムを明らかにした。また、竹富小学校における風景学習を継続的にフォローし、外部講師の支援によるユニークな地域共創の竹富島学習の展開過程を把握した。 4.全国町並みゼミ鹿島・嬉野大会第4分科会における浜小学校および塩田小学校のプレゼンテーションを地域共創の住まい・まちづくり学習として位置づけ、その内容を把握するとともに、伝建地区の民家・町並みを対象とした総合的学習の授業実践を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象地区によって調査実施項目、内容・密度に差があり、また全国網羅的な把握には至っていないものの、研究計画内容のほぼすべての項目について研究に着手し、いくつかの地域においては全国的にみて地域共創の住まい・まちづくり学習のモデルとなるような事例を収集するなど一定の成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
伝建地区選定数は年々増えており、各地区の多様な住まい・まちづくり学習の実践を詳細に把握することは難しいが、ネットワークを駆使して可能な限り把握に努めたい。住まい・まちづくり学習支援ツールとしてのペーパークラフト開発や授業実践はこのまま継続するが、授業計画の調整など学校側の協力が不可欠なため、学校はもとより各市町村の教育委員会、町並み保存団体等との緊密な連携をはかりながら教材開発や授業実践に取り組んでいきたい。伝建地区の生活文化調査と地区の住まい・まちづくりを支える仕組みづくりについては新たな調査を企画し、今年度中の実施・分析を行う予定である。
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