研究課題/領域番号 |
25350071
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小川 裕子 静岡大学, 教育学部, 教授 (20136154)
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研究分担者 |
中島 喜代子 三重大学, 教育学部, その他 (70024487) [辞退]
石井 仁 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70321479)
小川 正光 愛知教育大学, 教育学部, 名誉教授 (80126929)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 住生活学習 / 学校外での実習など / 学校行事 / 民泊体験 / 通風・換気の実験 / ビデオメッセージ |
研究実績の概要 |
平成26年度は、研究代表者と研究分担者、計3名がそれぞれ、これまでの研究成果を生かして、学校現場での住生活に関する授業実践を計画・実施して、その成果をまとめた。 平成25年度までの研究で明らかになっていることは、子どもたちは教師が考えているほど住居や住生活学習に関する興味・関心は低くはなく、住生活の学習では、特に学校外での実験・実習という学習活動を取り入れることを強く望んでいるという特徴があるという点である。 そこで、研究代表者の小川裕子は、伝統的な地域(奈良県明日香村)での民泊(短期のホームステイ)という学校行事での体験から繋げた、中学校における住生活授業実践(防災、安全で快適な室内環境、家族の住み方等)に取り組んだ。研究分担者の石井仁は、中学校における実験活動を取り入れた住生活授業実践(通風・換気、騒音)に取り組んだ。同様に研究分担者の小川正光は、中学校における「住民参加のまちづくり」に関する授業実践に取り組んだ。 これらの授業実践の意義としては、家庭科の授業時間数が限られているという現状に対して、家庭科の時間以外の学校行事と繋げて授業を展開するという方法が有効であること、住生活の指導に苦手意識を持つ教師に、専門家(大学教員、医師、その他)がサポートすること(ビデオメッセージを含む)の効果、そして、学校外での実習として、やり方によっては課題(宿題)でも有効であることを明らかにしたことである。 これらの授業実践の成果は、それぞれ、指導学生の卒業研究論文、学内紀要、そして、学会発表論文としてまとめられ、発表済み、または発表準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研メンバーは、昨年度1名が急逝するという不幸な出来事はあったものの、従来から同じ東海地方に在住する近い分野の研究者同士で交流があった。かつ、平成21年度から住生活学習をテーマに共同研究を進めてきたメンバーであり、本年度中の学校現場での授業実践を明確な目標として共有していたため、3名全員が授業実践とその振り返りまで実施することができた。 これから、今回の授業実践で用いた教材などを報告書にまとめて、東海地方4県の教育委員会や学校などに発送し、実践に活用してもらって意見を集める。それにより、研究者が中心となって作成した住生活学習の報告書を、さらに、学校現場で生きて活用できる形の「教材・授業事例集」に進化させることが大きな課題である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に入り、これまでに得られた住生活学習の教材・授業実践の成果をまとめ始めたところである。まだ授業実践できていない「家庭内事故と住生活」についても、教材化を図る予定である。 その後、9月中には報告書をまとめて、東海4県の教育委員会や各小、中、高等学校の家庭科教員に配布する。そして、それらに収められた教材・授業に対する意見などを返信していただく(12月)。 返信された意見・提案を反映させ、新たに『住生活教材・授業事例集』をまとめる(2016年3月)予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度に研究分担者の一人が急逝したため、未使用金が35万円ほどあった。平成26年度の未使用額44万円強のうちの35万円はそれに該当している。残る9万円が未使用であったのは、平成26年度には、日本教育大学協会全国家庭科部門運営委員会の庶務責任者という慣れない事務的な仕事を担当することになり、精神的にも余裕がなく、本研究への取り組みが不十分になったと思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には報告書の印刷が2回あること、そして、それらの郵送料が必要となることで、これまでより多くの費用が必要となる。それらに活用する。また、前述した全国家庭科部門の仕事は、本年度9月にはほぼ目処が付く予定であるため、その後、本研究の住生活学習で目指している「自然を生かした住まい方」が一般市民レベルで浸透して実践されているデンマークの教育システムについて、情報収集に出かける計画を考えているところである。
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