研究課題/領域番号 |
25350072
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20294184)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 衣服圧 / 肌触り / 編布 / 不織布 |
研究実績の概要 |
本研究は、温熱的快適性、動きやすさとストレスの関係をそれぞれ整理し、これらの結果を総合して、ストレスフリーの肌着を中心として衣料設計についての指針をたて、特に高齢者対応の備蓄用としての衣類セットの組み合わせを提言することを目的としている。 温熱特性と動きやすさ、皮膚特性を考慮に入れた着心地の関係を捉えることを試みた。この結果はどの年齢層の衣料にも応用できるが、特に高齢者にとって切実な圧の問題を解消に導くことを可能にすると考えられる。また、これまでの衣服圧研究に布の肌触り、人の皮膚特性を組み合わせて応用し、ストレッチ衣料を含めて取り組んだ。試料としては、不織布、編布、タオル地を取り上げ、これらの肌触りの良さ、着用感、使用感と材料特性との関係について考察を深めた。 特にシニア世代に適した薄手の編布や不織布を収集し、試料の物理特性の測定を行い、肌触りの良い布の特性を捉えた。特に伸びやすい薄手の編布の表面特性を、主観評価と対応するデータとして捉えるための測定条件を明らかにした。また、人体表面と布との摩擦や柔らかい人体上での衣服圧を、モデル化した状態で布の特性から推測した。圧縮特性の異なる円筒モデルに伸長特性の異なる試料を装着した場合の衣服圧を測定し、円筒モデルの圧縮特性が衣服圧に及ぼす影響について調べた。その結果、マットの圧縮特性が衣服圧に与える影響については、圧縮特性が小さいほど、衣服圧は大きくなる傾向が得られた。また、ヒトの筋肉量・推定骨量の違いが、サポーターの被服圧に与える影響について検討した結果、いずれも被服圧3kPa以上で筋肉量、推定骨量と被服圧がそれぞれ、ほぼ比例関係になる傾向が見られた。エアパックによる実測と布地の伸長特性と曲率半径からの予測計算により得られた被服圧を比較検討した結果、予測値の方が実測値よりもやや大きい値を示す傾向があるが、高い相関関係が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度でまとめる予定であったが、温熱的快適性、動きやすさとストレスの関係をそれぞれより深く整理するために、もう少しだけ追加実験を行いたいと考えているため。昨年度に学会発表は行ったが論文投稿をしたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
熊本で地震が発生し、その後エコノミークラス症候群等が発生している事態の中で、備蓄用衣類セットの中に着圧ソックスなどの追加も考えられる。衣服圧衣類の着用感、使用感との関係についても考察を深め、衣類の設計についての指針をたてて提言したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験結果の内容を深めるために追加実験を行っており、まとめるのに時間がかかって、その内容についての口頭発表、論文投稿までできなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
口頭発表のための旅費及び参加費、論文投稿費に使用したいと考えている。
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