本研究は、ストレスフリーの繊維製品の衣料設計について指針をたて、備蓄用としての衣類セットの組み合わせを提言することを目的として行った。温熱特性と動きやすさを考慮に入れた着心地の関係を捉えることを試みた。特に高齢者にとって切実な圧の問題を解消に導くことを可能にすると考えられる。また、これまでの衣服圧研究に布の肌触り、人の皮膚特性を組み合わせて応用した。 特にシニア世代に適した薄手の編布を収集し、試料の物理特性の測定を行い、肌触りの良い布の特性を捉えた。特に伸びやすい薄手の編布の表面特性を、主観評価と対応するデータとして捉えるための測定条件を明らかにした。また、人体表面と布との摩擦や柔らかい人体上での衣服圧を、モデル化した状態で布の特性から推測した。圧縮特性の異なる円筒モデルに伸長特性の異なる試料を装着した場合の衣服圧を測定し、円筒モデルの圧縮特性が衣服圧に及ぼす影響について調べた。また、ヒトの筋肉量・推定骨量の違いが、サポーターの被服圧に与える影響について検討した結果、いずれも被服圧3kPa以上で筋肉量、推定骨量と被服圧がそれぞれ、ほぼ比例関係になる傾向が見られた。エアパックによる実測と布地の伸長特性と曲率半径からの予測計算により得られた被服圧を比較検討した結果、予測値の方が実測値よりもやや大きい値を示す傾向があるが、高い相関関係が得られた。また、タイツ類を着用した時の被服圧の実測と予測を行い、さらに人体のやわらかさに着目し、身体特性が被服圧に与える影響について明らかにした。 本研究の目的は、温熱特性と動きやすさを考慮に入れた着心地の関係を捉え、両方を踏まえて性能を考えた備蓄用衣料セットとして、ストレスの小さい肌着及びタイツ類、タオルについて肌触りが良く、動きやすい使用感と材料特性との関係について明らかにすることができた。
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