日本海側は1ヶ月に2カ所、太平洋側地域は1ヶ月に4~5回のペースで地域別の浮遊カビの試料採取(落下法とエアーサンプラー法(AS法)に加え、迅速測定可能なパーティクルカウンター法(PC法))を行った。地域により屋外のカビ浮遊状況が異なることから、計画では複数箇所の居住環境とカビ発生状況を確認することとしたが、同意を得ることが困難であった。そのため継続採取は日本海側2カ所、太平洋側1カ所となった。その結果、日本海側の外気中のカビ検出頻度は太平洋側に比べ低く、特に冬季は著しく低いことが確認できた。冬季中の日本海側地域は室内を閉め切り多湿になることから、室内カビの検出頻度が上昇するのではないかと予想したが、室内カビの検出頻度も同様に低かった。 日本海側と太平洋側で、それぞれ約100名ずつ健康意識(カビ被害確認を含む)調査とカビ被害の実態調査を行った。その後同意が得られた場合には、住宅訪問によるカビ被害の実態調査を行う予定であった。測定者が対象者宅の居室に入ることに対し、理解が得られず測定できなかった。質問票による実態調査の中で、試料の拭き取り採取を同時に依頼した。その結果から、Cladosporium、Penicillium、Aureobasidium、Yeast、Rhodotorulaが多くの居室から検出された。なお、採取された検出カビの結果については、取りまとめ者を介して調査を実施した方へフィードバックした。本結果をみて、住宅環境の状態を一般の方々が認識していただければ、居住空間における健康意識がより高まることが期待される。 現在、平成25~27年の継続測定データとカビ汚染・測定方法および実態調査の内容を比較し、地域別のカビ汚染度の客観的評価法を検討しているところである。
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