研究課題/領域番号 |
25350081
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
庄山 茂子 長崎県立大学, 国際情報学部, 教授 (40259700)
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研究分担者 |
栃原 裕 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 名誉教授 (50095907)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医療用ユニフォーム / 小児患者 / ストレス / 看護師 / 表現メディア / 対人関係 |
研究実績の概要 |
小児病棟では、外来や入院中の小児患者の不安やストレスを軽減するために、病院内に玩具や本を置いたプレイルームを整備したり折り紙教室を行うなど様々な取り組みがなされている。村田(1995)によると運動規制・隔離による治療上の行動制限による小児患者のストレス度は、対人関係の範囲・家族の付き添い度・援助度と負の相関関係があり、対人関係の重要性を指摘している。本研究では、表現メディアとしての医療用ユニフォームに着目した。服装を介したコミュニケーションには、対人関係の内容や在り方についての情報を伝達する機能がある。そこで、小児患者と看護師間によりよい対人関係をもたらす医療用ユニフォームを検討するために異なる8色のユニフォームに対し、小児が抱く印象にどのような違いがみられるか明らかにすることを目的とした。小学5年生111名を対象に、異なる8色の医療用ユニフォームにどのような印象の違いがみられるか調査した。看護服として好ましい割合が高いのは、明るい青紫、やわらかい緑、白であった。医療用ユニフォームとしての好ましさについて、8サンプル間に有意差がみられた(p<.001)。明るい赤紫について男女間に有意差がみられ、女児の方が好ましいと回答する割合が高かった(p<.05)。病気や治療に対する不安の程度とユニフォームの好ましさには関連はみられなかった。小児が「安心感」と「思いやり」を抱くものは、8色のうち明度の高いユニフォームであった。ユニフォームの印象は、色相よりも明度に影響されることが示唆された。本研究結果は、歯科医院での成人患者を対象にした研究(庄山2013)と同様の結果であった。小児の年齢には幅があり、低年齢児の調査は難しいが、小学高学年になると成人と同様の印象を持つことが認められたことから、小児科のユニフォーム選択においては、色彩のもつイメージに配慮する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度は、介護服の実態について、全国の介護保険施設である介護老人福祉施設と介護老人保健施設を対象に調査し、分析を行った。26年度は、25年度に実施した小児を対象にした看護服についての印象評価に関する調査結果を分析し、さらに産婦人科の看護師に異なるユニフォームを着用してもらい、入院中の妊婦を対象にして、印象評価に関する調査を実施することができた。介護服に関する印象評価に関する調査は未実施であるが、看護服については、すべての診療科を対象にしたフィールド調査を終えることができたため、「おおむね順調に進展している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、異なるデザインの介護服を実際に介護老人福祉施設と介護老人保健施設の介護職員に着用してもらい、要介護者を対象に印象評価に関する調査を実施し、介護職員および要介護者によりよい人間関係をもたらす介護服について分析する。 また、看護服については、ユニフォームが着用者の心理にもたらす影響という視点から調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時には、介護老人福祉施設と介護老人保健施設で着用してもらうサンプル作りの費用を計上していたが、看護服の調査を先に実施したため、介護服のサンプル作りが最終年の3年目になったことで、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
①介護老人福祉施設と介護老人保健施設で着用してもらうサンプルの費用、および施設側、調査協力者への謝金として使用 ②2年間の研究成果を論文としてまとめ、投稿のための費用として使用
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