本研究では江戸時代の呉服商における呉服制作・販売の実態、すなわち、(1)どのような場所で、どのような手順で受注し、(2)どのような台帳や仕様書を作り、(3)どのような職人が、どのような手順で制作したのか、(4)制作に際してはどのような下図や作業指示書が製作されたのか、(5)呉服制作後はどのようにして価格設定し、納品と代金請求はどのようになされたのか、(6)また納品と代金請求などに際してはどのような書面が取り交わされ、(7)呉服屋では記録のためどのような文書を保管し、あるいはどのような文書が新たに作られたのか、などを、江戸時代の呉服商雁金屋・三井越後屋ほかの未解読資料を使用して明らかにした。
|