研究課題/領域番号 |
25350086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
梶 美保 中部大学, 現代教育学部, 准教授 (20515704)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳児保育の質 / 保育所 / 衛生的環境 |
研究概要 |
保育所入所児待機児童問題と認可園の規制緩和、幼稚園保育園機能一体化をめざした認定こども園への移行及び民間企業の参入の拡大の可能性、とめまぐるしく変化している現代において、乳児保育の質の維持向上は、緊要の課題である。そこで、乳幼児の最善の利益の保障と権利という観点で乳児保育の衛生的な環境条件という視点から、三重県下全保育所434か所および29自治体対象の実態調査を実施した。 1)市町対象調査の結果:回収率は62.1%(18自治体)であった。独自の保育所における感染症対策ガイドラインの作成は、わずかに16.7%で3自治体のみが作成しているという結果であった。地区医師会との連携では、「とれている」「まあとれている」という回答が75%であった。独自の保育所看護職対象研修は、わずかに16.7%、3自治体のみが実施しているという結果であった。2)保育所対象調査結果:回答率は61.8%(268保育所)であった。29自治体の回収率では、3市町からは回答はなかったが、回答があった市町からは20%~100%の保育所からの回答があった。 現段階の分析では、行政と地区医師会との連携は比較的良好であったが、自治体独自の感染症マニュアルの作成や保育所看護師への研修は不十分であった。私立保育所においては定員以上の受け入れを行っている施設が50%以上あり、さらに看護職の配置も公立に比較し低率であることから衛生管理上の課題があると推察される。保育所には、園医との連携が必要であるという意識があっても実態が伴っていない現状がうかがえた。園医の健康診断以外の保健活動への積極的参加は低かった。保育所における看護師の参加に関しては「治療的対応」「予防的対応」「保健的対応」の3因子が抽出され、それぞれの因子間で高い相関が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、三重県内全域434か所の保育所(園)における実態調査(8月)実施。三重県小児科医会定例会で報告した。加えて三重県内全域29自治体における感染症対策、保育所との連携に対する実態調査も実施した。県医師会との連携および検討会は実施できたが、視察・ヒアリング(予備調査)は予定通り実施したものの目標の10園の半分の5園にとどまったこと、自治体担当者が変更となったことにより、保育所看護職者との研修会等が実施できなかったことから以上の達成度であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、平成26年度は以下の通りの研究計画とする。 1)中間考察 実態調査の分析・課題の洗い出し。 乳児保育の質に関して、衛生的環境条件の構造化試案の検討。2)実態調査 ①視察・ヒアリングによる実態把握(三重県内選択)10園 保育所の視察及び乳児保育担当者への視察・聞き取りを実施(本調査6月~2月)②実態調査のデータ入力、整理。3)課題検討 自治体担当者及び専門職者検討会 調査結果を踏まえ、乳児保育の質の維持向上に向けての方策を検討する。次年度研究計画について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた保育所の視察・乳児保育担当者へのヒアリングによる実態把握10園が到達が半数であったため。また、自治体における聞き取りについても同様である。 平成25年度に予定していた保育所の視察・乳児保育担当者へのヒアリングに加えて自治体へのヒアリングのための旅費として使用する。調査報告書の作成、配布の一部にも使用する。
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