研究課題/領域番号 |
25350087
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
石原 久代 名古屋学芸大学, メディア造形学部, 教授 (50193347)
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研究分担者 |
小町谷 寿子 名古屋女子大学, 家政学部, 准教授 (70329697)
山本 努武 名古屋学芸大学, メディア造形学部, 講師 (40410899)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | e- ラーニング / マルチデバイス / 被服教育 / 明視性 / 評価実験 / 学習支援コンテンツ |
研究実績の概要 |
「被服教育の質保証を支援するマルチデバイス型e-ラーニングシステムの開発」のために平成25年度は被服製作の中で緻密で感覚的なドレーピングを取り上げ、スマートデバイス対応型のコンテンツを作成した。26年度はそのコンテンツを名古屋学芸大学・名古屋女子大学とも各LMSにアップロードし、名古屋学芸大学においては実際にコンテンツを見ながら学生35名に実習作業を行ってもらい、各工程でのコンテンツの評価と課題について抽出した。また出来上がった作品の評価を教員が行い、理解度についても検証した。名古屋女子大学学生60名(ドレーピングの内容は把握しているが実習作業を行ったことがない)にはコンテンツに関するアンケート調査を行った。その内容については9月開催の(一社)日本家政学会中部支部第59回大会にて発表した。 さらに、ドレーピング作業では使用するボディの色彩と作業布の色が酷似していることから、画面の小さいスマートフォンでは明視性に問題がある。そのためボディの色彩について実験を行い、日本色彩学会第2回秋大会 [清水]'14にて発表した。 一方、被服製作の中で細かい縫製作業による浴衣製作コンテンツについては、25年度に続き、26年度も名古屋女子大学の学生19名に修正を加えたコンテンツにPCからアクセスしてもらい、実際に浴衣を製作させ、評価実験を行った。また、名古屋学芸大学の学生14名を被験者として、同じコンテンツをスマートフォンからLMSにアクセスしてもらい同様に浴衣を製作してもらい、評価実験を行った。このデバイスの違いによる理解度の差異については今後詳細に検討し報告予定である。 さらに画像に関する最適化については、html5での動画フォーマット毎の圧縮率検証、viewportの設定によるさまざまな解像度環境の検証、認証サーバへの統合による利便性向上などについて検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マルチデバイスに対応するアパレル製作コンテンツはPCのみを対象としたコンテンツと異なり、特にスマートフォンでは画面が小さく、動画コンテンツの場合、再生途中における拡大・縮小ができないことから提示方法が難しく、この点を先に検討する必要があると考え、最もアパレル実習作業中の手先の動きが複雑なタイトスカートのドレーピング作業を中心に26年度は実験を行った。具体的には、LMSコンテンツを利用しながら実習作業を行い、見易さ、理解しやすさなどについて学生のアンケートから課題抽出するだけでなく、実習した作品を評価することで学生の理解度について検討し、その実験結果については(一社)日本政学会中部支部第59回大会にて報告した。この実験は当初27年度の実施計画に入っていたものを前倒しして行った。 しかし、26年度に予定していたスカート製作、ブラウス製作などのコンテンツ作成に必要なビデオ撮影をまだ行っていないことから、全体的には「おおむね順調に進展している」と評価した。ドレーピング作業がコンテンツにより、無理なく学生が理解できる環境の設定ができれば、他の動画コンテンツの作成は、ドレーピングの実験で得られた条件を参考にして行うことができ、さらにコンテンツ運用についても最適化の検討を進めているため、今後の進展には期待できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は、26年度に撮影できなかったスカート製作、ブラウス製作などのコンテンツを作成するために必要なビデオ撮影を速やかに行い、これらの動画を各製作コンテンツにどのようにリンクさせるか検討し、LMSにアップロードできるコンテンツを仕上げる。 また、ドレーピングコンテンツについては、課題が抽出されたことから、修正すべきところは修正し、付加すべき項目は付加して、コンテンツを作り上げ、LMSに再度アップロードし、実習試験を行い、コンテンツを完成させる。なお、これらマルチデバイス化に向けての諸条件は(一社)日本家政学会中部支部第60回大会に報告する予定である。 さらに、25年度にPCからLMSにアクセスし、実習実験を行った浴衣のコンテンツについても、26年度スマートフォンから同じコンテンツにアクセスして製作実験を行っているため、その結果からデータ解析、作品評価を通じて課題を抽出し、27年度中に完成させ、LMSにコンテンツとしてアップロードさせる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費について、予算に対して使用額が少なかったのは、研究発表した(一社)日本家政学会中部支部大会会場が名古屋市内であったことや、学会が勤務校のAO入試と重なり、当初予定した研究関係者全員の参加ではなく2名のみの参加であったことによる。 また、色彩学会秋大会も静岡市清水区で開催され、比較的近かったことから差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、(一社)日本家政学会にて研究発表予定であるが、会場がいわて県民情報文交流センターにて開催予定であり、本務校からの交通費がかかることや、日本色彩学会も山形大学にて開催予定であるるため、今年度の旅費は使用額が予定通りとなる見込みである。
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