研究課題/領域番号 |
25350092
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
酒井 昇 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (20134009)
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研究分担者 |
福岡 美香 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (10240318)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 電子レンジ / シミュレーション / 魚調理 / 炊飯 / 誘電物性 |
研究実績の概要 |
現在の日本においては高齢者の世帯が増え、少人数で食べることも多いことから、一人や二人分でも美味しくかつ簡便に調理することが望まれている。このような背景の下、電子レンジは炊飯や調理にも利用されるようになってきている。しかし、従来の調理と比較して加熱のメカニズムが全く異なるため、必ずしも美味しく調理できない。そこで、本研究では、加熱メカニズムを明確にするため、フラットテーブル型の電子レンジ解析モデルを作成するとともに、解析に必要な食品素材の誘電物性を測定した。 炊飯過程においては水の減少とともに、その状態は(水と米の混合)、(空気と米の混合)に変化し、その状態によって誘電物性は大きく変化する。そこで、まず(水と米の混合)および米の誘電物性を測定した。その結果、(水と米の混合)の値は水と米自体の誘電物性を用いて、対数混合則から予測可能なことを示した。 炊飯過程の前半部分として、この誘電物性を用いて、(水-米混合)の加熱の解析を行った。同時に(水-米混合)の加熱実験を行い、温度分布を測定したところ、解析結果と良好に一致し、(水-米混合)誘電物性の妥当性が確認できた。 また、電子レンジ魚調理の解析に必要な魚の誘電物性を測定した。凍結した食材を使用することも多いため、測定温度帯をマイナスの温度帯を含めた。また、実際の食材では個体差や季節変動があるため、解析結果と比較するための模擬食品(メチルセルロース)についても誘電物性を測定した。 解凍過程を含めた場合、解凍時に融解潜熱の計算と誘電物性および熱物性が大きく変化することを考慮する必要がある。昨年度開発した、フラットテーブル型の電子レンジ解析モデルにこれらの因子を考慮してモデルの改良を行った。改良したモデルを用いて、加熱時の温度分布を予測計算したところ、その傾向は実測値と良好に一致した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フラット型電子レンジを用いた魚調理の解析については、魚のタンパク質変性速度定数を算出するとともに、調理過程の解析を行い、既に国際誌(Journal of Food Engineering)」に掲載されている。 また、電子レンジ炊飯調理に関しては、解析に必要な(水-米混合)系の誘電物性を推算する方法を考案するとともに、(水-米混合)系での電子レンジ解析を行い、国内学会(日本熱物性シンポジウム)で発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね研究計画どおりに研究が進行しており、27年度は、電子レンジ炊飯および電子レンジ魚・肉類調理の研究を推進する。具体的な検討課題は次のとおりである。 1.炊飯過程の誘電特性の予測: 26年度に(米-水混合)系の誘電物性について検討した。27年度は引き続き(米-空気混合)系での誘電物性を検討する。 2.電子レンジ炊飯過程のモデル化: 炊飯過程において水がお米に吸水されると同時に水分の蒸発が起こる。この水分変化について、電子レンジ解析モデルに組み入れる。 3.電子レンジ魚・肉類調理過程のモデル化: 食品と発熱皿、肉と魚など、複数の素材が電子レンジ庫内に存在する場合を想定した解析モデルを作成すると同時に実験を行い、その妥当性について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
電子レンジの解析は、電磁界解析ソフト(PHOTO-Wave jω)を用いて行っている。このソフトはバージョンアップ・保守費として年間約35万円必要とし、この分を次年度使用額とした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額(B-A)については、電磁界解析ソフト(PHOTO-Wave jω)のバージョンアップ・保守費として約35万円を使用する。残りは実験材料費とする。
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