研究課題/領域番号 |
25350096
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
田村 啓敏 香川大学, 農学部, 教授 (00188442)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 玉ねぎ / サツマイモ / 抗アレルギー活性 / ケルセチン-4'-グルコシド / QuEChERS法 / 活性相関 |
研究実績の概要 |
毎日の食事の摂取量の多い、タマネギに着目し、11種のタマネギ(8品種、地元の市場から3種類)のQuEChERS抽出物の抗アレルギー活性を検討したところ、抗アレルギー活性には、IC50=20.8から310.1μg/mLのばらつきが品種ごとにあり、抗アレルギー活性の観点から有用な品種があることが明らかになった。有効物質の探索には11種のQuEChERS抽出物のHPLCクロマトグラムに現れた34のピーク面積と粗抽出物の抗アレルギー活性との相関係数から、ケルセチン-4'-グルコシドに高い相関性(r=0.91)が確認できた。さつき種のタマネギからケルセチン-4'-グルコシドを分離したところ、抗アレルギー活性IC50は3.0±0.2μg/mLとなり、相関係数から予測したピーク成分に高い活性が確認できた。タマネギの高抗アレルギー活性物質はケルセチン4'-グルコシドであり、配糖体である。配糖体にアグリコンに匹敵する抗アレルギー活性が見られたのは初めてであり、配糖体は体内吸収率も高いとの報告もあり、玉ねぎの利用面からも興味が持たれた。 サツマイモについても、タイと日本の芋類の抗アレルギー活性の比較は進行している。現在は皮部に強い活性成分の存在が予想されている。 以上、フラボノイドの抗アレルギー活性に必要な化学構造上の特性を解明し、食品の素材からQuEChERS法により簡便に抽出物を単離し、活性値と存在量の相関係数により、抗アレルギー活性物質を特定、あるいは推定する手法を確立した。また、玉ねぎやサツマイモの特定品種から高抗アレルギー物質の単離に成功し、明らかになった物質をリード化合物とする新薬や健康補助食品の開発につながる糸口ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種の食材から有効成分を抽出する手法を確立したところ、農薬分析で多用されるQuEChERS抽出法が最適であることが判明した。この方法では、30分以内に効率良くサンプル処理ができるため、40種以上の食材に応用し、有効な野菜類を特定できた。特に、サツマイモ、玉ねぎには有効成分があり、サツマイモの抗アレルギー活性について、明らかになりつつある。また、玉ねぎでは、果肉部に高い活性成分があり、ケルセチン-4'-グルコシドが活性の本体であることが確認できた。両者とも可食部にも活性成分はあるが、未利用資源の果皮にも多く、今後未利用資源の高度利用の面でも注目する価値があることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
両者とも可食部にも活性成分はあるが、未利用資源の果皮にも機能成分が高濃度に存在し、今後未利用資源の高度利用の面でも注目する価値があるので、未利用資源部位に存在する有効成分の高温加熱による、溶解度の向上や加熱調理中の条件での安定性などを検討する予定である。また課題となっていた調理中の変化についても調査を明確に進め、調理過程で付加価値が高くなる場合もあるので、結論を得たい。
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