研究課題/領域番号 |
25350100
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
谷本 昌太 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (80510908)
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研究分担者 |
下田 満哉 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70149871)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SPME法 / におい成分 / ハマチ / 脂肪酸組成 / 脂質酸化 / 臭い嗅ぎ分析 / 魚 / ガス置換包装 |
研究実績の概要 |
ハマチ肉の貯蔵中のにおいの変化に対する窒素置換包装(NS)の効果を検討することを目的に揮発性成分およびにおい成分の分析を行った。 試料として,養殖ハマチの普通肉(肩肉)および血合肉を用いた。これを,NSおよび含気包装(AP)し,0℃で0~7日間の貯蔵試験を行った。測定項目として一般生菌数,血合肉の色(褐変度),TBARSおよびPOVの分析を行った。揮発性成分の分析は,SPME法を用いて成分を捕集後,同定・定量をGC/MSにより行った。においかぎ分析は,GCの最大のスプリット比で,感知されたにおいを5点法で評価した。官能検査は,評価項目をにおいの強さ,生臭さ,油臭さとし,尺度法で評価した。 NSを行った血合肉は,APと比較し,メト化による褐変の進行を有意に抑制した(P < 0.05)。血合肉のPOVおよびTBARSは,APで有意に増加するのに対して(P < 0.05),NSで有意な変化が認められなかった。揮発性成分については,酸化二次生成物と示唆されたアルデヒド類とアルコール類は,血合肉のAPにおいて貯蔵中に有意に増加したが(P < 0.05),これらの増加は,NSにより抑制された。また,主成分分析の結果,APした貯蔵後の血合肉とNSおよび貯蔵前の血合肉および普通肉を第一主成分により分けることができ,この成分に対して多くの揮発性成分の増加が寄与していたことから,貯蔵によるこれらの揮発性成分の増加がNSにより抑制されることが示された。においかぎ分析の結果,NSした血合肉の貯蔵後に感知される化合物のにおい強度が,APと比べて低いことが示され,この結果は官能検査の結果と一致した。以上の結果より,ハマチ肉をNSすることによって血合肉の褐変および脂質酸化のみならずにおいの変化も抑制され,このことによりハマチ肉の品質保持が可能であることが明らかとなった。
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