マメ科植物であるアピオス(Apios Americana Medik)から、新規イソフラボンであるGenistein-7-O-genitiobiosideを新たに見出した。一般に通常の食生活では、大豆およびその加工品以外でイソフラボン類を摂取することは困難であるとされることから、アピオスをイソフラボンの新たな摂取源として展開するための基盤を確立することを目的とした。 食品中のイソフラボンは主として配糖体として存在し、唾液、小腸粘膜の酵素あるいは腸内細菌の作用により産生されるβ-グルコシダーゼによりアグリコンに加水分解されることで腸管から体内に吸収される。しかしながら、腸内細菌の働きには個人差があるため、より効果的に摂取するにはアグリコンとしての摂取が望ましいと考えた。そこで調理加工における配糖体への変換について検索したところ、茹でや蒸すといった利用法よりも、製パンの素材として利用することでアグリコンへの変換が顕著であることが認められた。 一方で、アピオスを販売する際、通常、食用となる塊茎部と塊茎部の間にある茎部は除去し、廃棄されており、それが加工、販売において大変な時間と労力を要する。そこで茎部のイソフラボンについても調査したところ、塊茎部とは異なるイソフラボンの溶出パターンであることが確認された。さらに抗酸化活性についても検討したところ、塊茎部に比べ茎部で高い活性を示すという大変興味深い結果が得られた。したがって、茎部も塊茎部同様に加工品の素材として有効利用することが望ましいことが示唆された。
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