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2013 年度 実施状況報告書

抗酸化能を有し低塩条件下でも畜・魚肉練り製品を形成する肉タンパク質素材の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25350107
研究種目

基盤研究(C)

研究機関同志社女子大学

研究代表者

西村 公雄  同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (60167567)

研究分担者 佐伯 宏樹  北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (90250505)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード筋原線維タンパク質 / メイラード反応 / 抗酸化能 / 鶏肉 / 麦芽糖 / ス-パーオキサイドアニオンラジカル / ヒドロキシラジカル / 糖化
研究概要

ソーセージやかまぼこなどの畜・魚肉練り製品は,加工時多量の食塩を用いること,また,保存に酸化防止剤を必要とすることなどから,高血圧などの生活習慣病が気がかりな世代や健康指向の消費者から,敬遠されがちである。申請者は,鶏肉にメイラード反応を用いて糖修飾すると低イオン強度溶液に溶けるようになるだけでなく,熱安定性の増大や抗酸化能の獲得など機能改変が生じることを認めた。そこで,まず,ランダムセントロイド最適化(RCO)法を用いて低イオン強度溶液への可溶性を保持しながら抗酸化能を最大限に発揮する糖修飾鶏筋原線維(Mf)タンパク質の調製条件を検索した。
その結果 ス-パーオキサイドアニオンラジカルへの最大消去能を発揮する最適調製条件は,反応温度60.87℃,相対湿度(RH)37.88%,時間33.89時間,マルトース/Mf重量比5.59であることが判明した。この時,最適調製条件下で得られたマルトース修飾鶏Mfタンパク質のIC50は3.5±0.0016mg/mlであり,ス-パーオキサイドアニオンラジカル消去活性は150±70units of スーパーオキサイドディスムターゼ/g of proteinを示した。
一方、ヒドロキシラジカルへの最大消去能を発揮する最適調製条件は,反応温度57.4℃,RH 37.3%,反応時間37.22時間,マルトース/Mf重量比5.43となった。この時のマルトース修飾Mfタンパク質のIC50は0.82±0.092mg/mlであり,ヒドロキシラジカル消去活性は,7.838±0.90units of 没食子酸/g of proteinを示した。
RCO法を用いることで,低イオン強度溶液に可溶で,最大抗酸化能を発揮する調製条件を突き止めることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

低イオン強度溶液への溶解度測定に際し,タンパク質の定量を行う。しかしながら,簡便法(ローリー,ブラッドフォードなど)を用いて,タンパク質測定を行おうとするとメイラード反応により,それぞれの呈色を促す要因(還元性や塩基性アミノ酸残基など)が,影響を受けているために,正確にタンパク質量の測定ができなかった。このため,溶解度の再現性を得ることが難しい状況となっていた。そこで,ケルダール法を用いて正確を期すこととした。その結果,タンパク質測定に時間が思いの外費やされ,最適調製条件の見極めまでしか今年度は,進まなかった。

今後の研究の推進方策

低イオン強度溶液への溶解度を保持しながら,最大抗酸化能を発揮する調製条件を見い出せた。今後は,今年度得られた調製条件下で作成したマルトース鶏筋原線維タンパク質が,ゲル化能を持つのか検討する。また,ゲル化能を保持していた場合,抗酸化能も併せて保持しているか見極める。これらが,確認できれば,加工時食塩を多量に要求せず,貯蔵時添加物(酸化防止剤)の減量を期待できる畜・魚肉練り製品の開発が,可能となる。
また,麦芽糖にかえて,オリゴ糖,デキストリンによる修飾効果についても検討してゆく。ただし,正確を期すためにタンパク質の定量は,原則ケルダール法を用いるので,その煩雑な操作上,計画が遅延してゆく可能性が考えられるが,時間を使っても信頼性のあるデータをしっかりと出すことに重点を置きたい。

次年度の研究費の使用計画

ヒドロキシラジカル活性を測るための測定用キットの購入費(1キット50,000円)総計が,見込んでいた金額より少なくて済んだことが,主たる原因である。
引き続き,この研究を進めるに当たり,必要な試薬器具の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 糖修飾による鶏肉タンパク質の機能改変と抗酸化機能付与による新食品素材の開発 -ランダムセントロイド最適化法を用いて-2013

    • 著者名/発表者名
      西村 公雄
    • 学会等名
      第23回 日本メイラード学会学術集会
    • 発表場所
      グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンター
    • 年月日
      20131129-20131129
    • 招待講演
  • [学会発表] Applications of Random-Centroid Optimization2013

    • 著者名/発表者名
      Kimio Nishimura
    • 学会等名
      The 6th Pacific Rim Food Protein Symposium
    • 発表場所
      Gakushi Kaikan, Tokyo, Japan
    • 年月日
      20130517-20130517
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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