研究課題/領域番号 |
25350109
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研究機関 | 京都華頂大学 |
研究代表者 |
豊原 容子 京都華頂大学, その他部局等, 准教授 (50241211)
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研究分担者 |
豊原 治彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90183079)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海藻 / 伝統食 / クロロフィルC2 / 抗アレルギー作用 |
研究実績の概要 |
漁村における海藻食摂取とアレルギーの発症の関連性について検討するため、日本海側の漁村(島根県西部、石川県能登地区)の聞き取り調査および統計資料からの検討を行ったが、関連性について明らかにすることができなかった。食生活の変化は年齢や地方に関係なく見られ、その地域の特色ある食生活は少なくなっていること、また漁業権の問題から海に近い地域でも昔のように自由に海藻を採って食べることができない状況であるなど聞き取り調査によってさまざまな食生活上の因子が影響していることが明らかとなった。また、海藻の利用頻度および摂取量が現在では全体として低いことから、アレルギー疾患の患者について直接食生活のアンケート調査を行い関連性を検討することについては断念した。 一方、海藻の伝統的な食べ方の調査を継続して行っているが、本年は、能登に残る「かすかもの串目」について現地調査を行った。土地の人でも漁業に携わらない人にはなじみのない食べ方であり、海藻を串にまき魚の串焼きのように炙って食べる珍しい調理方法である。海藻が近年減少してきているとのことで、原藻、串目ともに今年は入手できできなかったが、レシピについて資料を入手することができた。昨年調査した「若生いおむすび」や全国でみられる「味噌漬け」など海藻をあまり加熱しないで食べる伝統食の調理法を参考にして、抗アレルギー効果を保つことができるように現代に受け入れやすいレシピを考案中である。 さらに、調理過程におけるクロロフィルC2の動態について明らかにするために、海藻からクロロフィルを抽出して、その後加熱を経ずに測定することができるように吸光度法を用いた方法を検討してきた。これまでに提案されている濃度算出計算式を用いて算出する方法であるが、本年は測定法の確立に至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
近年、日本沿岸の海域の変化に伴い、海藻が手に入りにくい状況が生じている。 また、クロロフィルC2の調理による変化を量と活性から明らかにしていきたいと考えている。調理中の加熱条件などによるクロロフィルC2の動態について把握するために、測定の試料調整時に濃縮など加熱処理しなくてもよい方法として吸光度法を確立したかったがクロロフィルの微妙な変化を把握できていない。
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今後の研究の推進方策 |
海藻中のクロロフィルC2の実際の調理過程での変化については測定が困難であるため、加熱条件を絞って、測定法が確定している液体クロマトグラフィー法を用いて実験を進めていく。 伝統海藻食の探索とこれらの調理方法を用いた現代食にマッチした海藻食のレシピ開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
吸光度のよるクロロフィルC2の測定法の確立が進まず、計画していた調理によるクロロフィルC2の消長および抗アレルギー活性の変化について検討するに至らなかった。そのため前年度の機器購入において生じた差額が今年度も残額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
液体クロマトグラフィーを用いて加熱や酸、塩によるクロロフィルC2の消長や活性への影響を検討していくこととする。このため、カラム等の補充が必要となる。また細胞による活性の確認などが必要になってくると考えられるため、これに必要になる機器などの購入にあてる予定である。 また、気候に影響されて採集できない海藻類についても再検討する予定であるため、旅費等に充てる予定である。
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