研究課題/領域番号 |
25350113
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
石井 香代子 福山大学, 生命工学部, 准教授 (20462070)
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研究分担者 |
渕上 倫子 福山大学, 生命工学部, 教授 (60079241)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 新調理システム / 介護食製造 |
研究実績の概要 |
目的・方法:新調理システムを用いた介護食の製造に新調理システムを用いて食品の保存性や物性(硬さ、粘性)、テクスチャーを調べ、比較検討した。試料には精白米、メークイン、大根、かぼちゃ、鶏肉などを用いた。結果と考察(精白米より):クックチルの20℃での硬さは、クックサーブと比べて2日目が硬くなり有意に違いが認められた。基準値5843 N/m2と比較すると、20℃では2日目が、50℃ではクックサーブが最も近かった。凝集性は、20℃・50℃共に保存期間による差は認められなかった。基準食0.50と比較すると、20℃では4日目が、50℃では2日目が最も近かった。20℃での付着性は、2日目が最も高く、2日目以降は保存期間が長くなるにつれて付着性が低くなった。基準食855 J/m3と比較すると、20℃ではクックサーブが、50℃では5日目が最も近かった。50℃では硬さ、凝集性、付着性の保存期間による差があまり見られなかったことから、実際には温かい温度(約50℃)で提供するので、クックチルで5日目まで提供可能であり、介護食作りにおいてクックチルは有効であると考えらる。真空調理の硬さは、20℃・50℃においても短期保存より長期保存の方が軟らかくなる傾向があった。真空パック中の水分が食材に均一に浸漬するためだと考えられた。予め真空調理しておくと、提供時に手間がかからず軟らかい食事が提供でき、時間短縮になるのではないかと推察される。凝集性は、20℃では短期保存において差が認められ凝集性が強くなったが、50℃では差は認められなかった。付着性は、短期保存では1日目に比べ2日目で倍以上になり、長期保存では37日目で特に強くなった。クックチル、真空調理法は、介護食を作り置きしておくことができ、持ち運びも簡便であるため、大量調理の必要な場所で利点を活かし取り入れれば、効率よく提供ができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
物性分析等を行う食品の種類を多くする為、やや遅れている。たんぱく質食品や炭水化物食品の調理品製造と、その物性分析が不十分である。凍結含浸法の実験も途中であるが、この方法を用いた調理品及び新調理システムを用いた調理品の官能検査を高齢者へ実施する。施設への依頼調整がやや遅くなったが、施設入所高齢者や若年者についても食味検査などの官能評価を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
新調理システムで製造した調理品、食品の物性分析に加え、官能評価を高齢者の方へも広げ、マニュアル作成の検討・調整を行う。凍結含浸法での実験をさらに進め、組織観察の結果を製造工程と食味などとも関連づけて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調理実験等の予定に必要な機器が揃わず、研究実施がやや遅れた。新調理システムに必要な調理器具(スービークッカー)を調達するには、平成26年度分の額面が不足したため、ひとまず残して、平成27年度分と合わせて購入することとした。前倒し請求をするには時間的に遅くなった為、平成27年度へ繰り越した。計画的な費用の使用が不十分な対応であった。この点については今後注意したい。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に前年度で未使用分と今年度費用を合わせて、必要な調理器具(スービークッカー)を揃える予定である。既に発注し研究の更なる遂行を計画している。新調理システムの実施には、関連する調理機器が必須であり、この度の購入予定によって、小規模であるが必要な機器をほぼ揃えることができる。
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