研究課題/領域番号 |
25350115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
太田 千穂 中村学園大学, 栄養科学部, 講師 (80271435)
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研究分担者 |
古賀 信幸 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (80136514)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ポリメトキシフラボノイド類 / heptamethosyflavone / natsudaidain / ラット / 肝ミクロゾーム / in vitro代謝 / 脱メチル化 / HPLC |
研究概要 |
柑橘類カラマンダリン果皮からポリメトキシフラボノイド類を抽出後、HPLCによる精製を行い、nobiletin (NBL)、heptamethoxyflavone (heptaMF)およびnatsudaidain (NTD)をそれぞれ数10mg得た。 当研究室ではNBLの動物肝におけるin vitro代謝を調べ、3種類の一脱メチル化体と2種類の二脱メチル化体が生成されること、代謝酵素CYP1AとCYP3Aが関与することを報告している。そこで本研究では、NBLのC3位にメトキシ基が置換したheptaMFと水酸基が置換したNTDの両化合物についてラット肝によるin vitro代謝を調べ、NBLの代謝パターンと比較した。また、3種類の酵素誘導剤、すなわちフェノバルビタール(PB)、3-メチルコラントレン(MC)、デキサメタゾン(DEX)の影響についても検討した。HPLCとLC-MS-MSによる分析の結果、heptaMFからは3種類の一脱メチル化体と2種類の二脱メチル化体が、一方、NTDからは4種類の一脱メチル化体と2種類の二脱メチル化体が生成され、NBLより代謝物の数が多いことが明らかとなった。また、両化合物ともPB前処理による影響はあまり見られず、一方、MCまたはDEX前処理である種の代謝物が未処理の約10~200倍と著しく増加した。このことから、NBLと同様に両化合物の代謝にはCYP1AやCYP3Aの関与が重要であることが示唆された。 次に、Caco-2細胞を用いてNBLの消化管における輸送機構について検討した。NBLの頂側膜側および側底膜側からの輸送は等しく、分泌指向性は認められなかった。また、両トランスポーター(P-gp、MRP2)の阻害剤を用いてNBLの輸送を調べた結果、阻害は認められなかった。このことからNBLは両トランスポーターの基質ではないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画により、①柑橘類果皮からポリメトキシフラボン類の分析試料の分離精製、②ポリメトキフラボン類の物理的・化学的挙動の一部および③ポリメトキシフラボン類の代謝活性試験を行い、得られた結果を取りまとめて学会発表を行うことができた。このことからおおむね順調に進展しているといえる。②に関しては幾分か結果が不十分であり、引き続き平成26年度に実施予定である。ただし、平成26年度に研究実施計画していたヒト小腸上皮細胞を用い膜透過性試験についてポリメトキシフラボン類の1つであるnobiletinで結果を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、①ポリメトキシフラボン類の物理的・化学的挙動についてHP調理加工における影響についての評価、 ②ポリメトキシフラボン類のin vivo代謝による生体内動態の観察および酵素誘導能試験、 ③ヒト小腸上皮細胞を用いた透過性試験、 についてHPLC分析にて当初の研究実施計画を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度請求した使用計画の「その他」の金額が少額で済んだためである。 次年度は、当該年度の使用計画(+前年度差額)に従って使用したい。
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