甘・苦・塩・酸・うま味の基本五味は、それぞれ異なる受容体異なる味受容細胞で認識されていると考えられています。最新の電気生理学的実験では、一つの味受容細胞が複数の味に反応する現象が捉えられてきていますが、味と味の相互作用を説明するには至っていません。本研究では、甘味物質、塩味物質の認知に要する時間差(認知順序)に着目し、認知時間と甘味増強感の関係を明らかにすることを目的としています。25年度は、甘味溶液や塩味溶液が舌に接してから認知するまでの時差を計測するために、溶液の提示方法(ポンプ、電磁弁、流路の最適化と制御プログラムの開発を行った。当初の予定通り、使いやすいハンディースイッチの選択、還流チューブを利用した舌への味溶液提示方法の最適化を試みました。ハンディースイッチには、クリック感のあるものが適しており、還流チューブには伸縮性の無いテフロンチューブが、精度の高い送液に不可欠であることがわかりました。本装置で試運転を行ったところ、1チャンネルでは問題なく動いたが、2チャンネル以上の組み合わせでは動作が不安定でした。これには、チューブ接続部位の圧量損失や電磁弁の開閉タイミングのずれが影響しているものと考えられらました。甘味と塩味の認知時間差は0.1秒程度であることから、2チャンネル間での制御分解能が0.01秒程度となるように調整する必要があります。早急に機器調整を行い、基準液と甘味溶液、基準液と塩味溶液の認知時間差を測定するとともに、それら混合液の認知時間、味の調和感を調べていく予定です。
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