研究課題
本研究の目的は、インスリンシグナルを活性化する香辛料成分を探索・同定し、その抗糖尿病作用を培養細胞および動物実験レベルで実証することである。また、分子レベルでそのメカニズムを解明することで科学的根拠に基づいた機能性食品の創出を目指している。平成27年度は、マウス由来筋芽細胞株C2C12細胞をインスリンの標的細胞である筋管細胞へと分化させ、平成25年度にPTP1B阻害剤として同定したアブラナ科植物由来のphenethyl isothiocyanate (PEITC)、benzyl isothiocyanate (BITC)、phenyl isothiocyanate (PITC) およびallyl isothiocyanate (AITC) を処理することによって抗糖尿病効果を検証した。その結果、PEITCが細胞内のPTP1Bのシステイン残基の反応性チオール基に結合することによって酵素活性を顕著に阻害し、インスリン非依存的にインスリンシグナルを活性化する分子機序を解明した。PTP1Bは、飽食シグナルであるレプチンシグナルの負の制御因子としても機能していることから、ヒト由来の培養SH-SY5Y神経様細胞を使用してPEITCの効果の検証を行った。その結果、PEITCは、同様にPTP1B活性を阻害し、レプチンシグナル分子であるJanus Activating Kinase 2(JAK2)をレプチン非依存的にリン酸化することを新たに見出した。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
PLoS One
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