申請者はNASHモデル動物をもちいてプロバイオティクス等栄養機能性物質の投与が炎症スコアや線維化の程度,あるいは肝マクロファージ細胞等での免疫応答に及ぼす影響の検証を行い,脂肪肝からNASH進展抑制を目指した機能性食品の開発の基礎資料とすることを目的とした。そこで、今年度は肥満・脂肪肝モデル動物でのプロバイオティクス投与による組織学的,生化学的手法による炎症評価の検討を行った。プレバイオティクスとして乳酸菌株(L. plantarum 301102)は培養後集菌し凍結乾燥、不活化菌体はオートクレーブ処理し比較に用い、またプレバイオティクスにはフルクトオリゴ糖を使用した。5週齢の雄性C57BL/6Jマウスは各試料をHFD32に混合し4週間自由摂食させ、実験に供した。内臓脂肪重量においてコントロール群と比べてプロバイオティクスとプレバイオティクスの同時投与で有意に低い値を示した。また総コレステロール値はコントロール群と比較して同時投与群で有意に低い値を示し、また肝組織評価であるNAFLD activity scoreにおいてコントロール群と比較して有意に低値を示した。今回の検討では、肥満モデルマウスを用いてL. plantarum 301102およびフルクトオリゴ糖を用いて投与することでプロバイオティクスとプレバイオティクスの影響を検討したところ、これらを同時に投与することで内臓脂肪蓄積低下や肝組織学的指標での肝炎症への保護効果をもつことが示唆された。
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