研究実績の概要 |
酸化ストレスが発症に大きな役割を果たす代表例が動脈硬化である。動脈硬化発症においては、酸化ストレスを始め、脂質代謝も重要である。また酸化ストレスといっても従来の脂質過酸化だけでなく、我々が明らかにしたタンパク質のアミノ酸のラセミ化なども今後重視していく必要がある。さらに酸化ストレスで変化する生命現象を明らかにしていくことも重要である。今年の実績は、以下の通りである。 1)マイクロRNA(miRNA)は脂質代謝との関係で大きな注目を集めているが、未だに食品成分との関わりは全く研究されていない。今後酸化ストレス、脂質代謝との関連でmiRNAに注目すべきであり、これについて総説を発表した(肝臓病におけるマイクロRNA-122 (miR-122)の変化とビタミン等による調節. 小城勝相, ビタミン, 89, 125-132 (2015))。 2)必須脂肪酸欠乏時にはミード酸(C20:3n-9)という通常存在しない脂肪酸がオレイン酸(C18:9n-9)から産生される。本論文では、必須脂肪酸欠乏状態にある培養細胞を用いてミード酸の産生遺伝子を同定し、さらにオレイン酸からミード酸の産生経路を明らかにした。本研究はBiochim. Biophys. Acta.-Molecular and Cell Biology of Lipids, 1841, 204-13 (2014)に報告した。 3)コレステロール酸化物であるオキシステロール結合タンパク質の存在がよく知られているが、その機能は不明である。その1種あるORP4欠損マウスでは精子の形態異常とともに、精子の数も減少する。精巣特異的にORP4を欠損したマウスを用いて、ORP4が生殖細胞の減数分裂に必要であることを明らかにした。本研究はGene to cells, 19, 13-27 (2014)に発表した。
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