研究課題/領域番号 |
25350141
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
鈴木 良雄 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (30612395)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 唾液 / アミラーゼ / AMY1 / 発達 / 生活環境 / コピー数多型 |
研究実績の概要 |
1.背景: ヒトの唾液アミラーゼ遺伝子(AMY1)にはコピー数多型が存在し、個体あたりのAMY1のコピー数には2~15個という大きな個人差がある。一方、成人ではAMY1のコピー数が、唾液中のアミラーゼ量や活性と相関するとの報告があるが、相関関係は必ずしも明確ではない。唾液アミラーゼは出生時には発現がなく、思春期までに発達するとされている。また、唾液アミラーゼは高糖質食により上方制御されるとの報告もある。したがって、成人の唾液アミラーゼ活性は、AMY1コピー数以外に、成長過程での食生活の影響も受けている可能性がある。しかし、発達期の唾液アミラーゼ活性とAMY1コピー数との関係を調べた研究はない。 2.目的: 唾液アミラーゼの発達と、AMY1コピー数や食生活との関連を、保育園児及び小学生を対象に検討する。 3.方法: 保育園児及び小学生を対象に、口腔粘膜、早朝空腹時の唾液を採取し、更に保護者(小学校高学年以上では本人も含める)を対象に食事・生活習慣に関する質問紙調査を行う。採取した口腔粘膜からはDNAを抽出しRT-PCRにてAMY1コピー数を測定し、唾液についてはアミラーゼ活性を測定する。これらのデータと、質問紙調査で得られた回答を比較する。 4.研究成果:長野市内の保育園児・小学生を対象に調査を実施し、保育園児234名(3~5歳: 男子127名、女子117名)、小学生945名(男子471名、女子474名)より検体および調査紙の回収を得た。3歳児では唾液のアミラーゼ活性とタンパク濃度に相関は観られなかったが、4,5歳児では有意な相関が観られた。AMY1コピー数は保育園児204人分を測定した。AMY1コピー数は、平均6.0コピー(最小 2、最大16)であり、全体の91%は10コピー以下であった。小学生から回収した口腔粘膜についてDNAの抽出を進めている。回収した質問紙調査の結果の解析も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度中に保育園だけでなく、小学校でも調査を実施できた。しかし小学校での回収数が当初予定よりも多く、H26年度はデータの整理、口腔粘膜検体からのDNAの抽出に予想以上の労力を要した。
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今後の研究の推進方策 |
えられた検体の分析を進めるとともに、調査紙調査の回答の整理を行い、結果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度中に予定していた発表のための費用が未使用だったため、その分を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度中に、検体・データの解析を進め、発表する予定である。
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